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パース・メンコ

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 駄菓子屋などで購入したパース(メンコ、パーともいう)を取り合う遊びで、秋から冬から春の時期に、庭や道の平らな面に円を描いて、男の子が寒さを忘れて遊んだ。
 パースは厚手のボール紙で作られ、円形や四角形の大小ものがある。普通のパースの大きさは直径が五~一○センチメートルで、三〇センチメートル程の大きなものはデカパースといい、一〇円玉くらいのパースをマメといった。表には武者絵や当時人気の相撲の力士、黄金バット、のらくろのきれいな絵柄が描かれていた。円形には飛行機や戦車などが描かれ、四角形のものには力士(前田山、双葉山など)、野球選手(川上選手、青田選手)、陸軍大将などが描かれていた。
 遊び方には、地面に置かれた相手のメンコを自分のメンコでひっくり返すものと、メンコを戸袋などにぶっつけて、どのくらいで跳ね返ってくるかを競う遊びがある。前者の遊びには、ジャンケンで負けた者が地面に一枚置き、勝った方がそのメンコを狙って強く打ち付け、そのあおりで相手のメンコが裏返しになればそれを取れる。この裏返しにするときに、着物の袖を利用して風を起こして、相手のメンコをひっくり返しやすくする者もいた。また、ひっくり返されないようにメンコを重くするために、メンコの裏にロウを垂らしたり、油を塗ったり、メンコの間にブリキを挟んだり、厚い紙を貼ったりして工夫した。小さなメンコで大きなメンコを倒して、それを取るのが楽しみであったという。

9-9 昭和30~40年代のメンコ(流山市教育委員会所蔵 鷲宮町立郷土資料館提供)