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宮目姫の伝説(姫宮神社)

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むかし平安京の頃、桓武天皇の皇子・安世王に宮目姫という美しい姫がいました。
この姫が下総国に行こうとした旅の途中、武蔵国百間の里、紅葉ヶ岡という所にたどりつきました。山中の紅葉のながめがとても美しく、浜の砂と調和してその見事さは言葉につくせぬほどでした。あまりの美しさに目を奪われた姫は思わず馬を止め、景色に見とれておりました。
いったいどれほどの時がたったのでしょうか。景色に見とれていた姫は突然の激しい癪に襲われ、手当てのすべも無いままに息を引き取ってしまったのです。姫のなきがらはこの岡の西の辺りに埋められました。この頃には岡の近くに住む人もいたため、姫の墓に花などを手向ける人もいたそうです。後に慈覚大師が故郷の下野へ下るとき、この姫の話を耳にして、里人と共に祠を建て供養をし、姫宮明神と呼んだということです。