第60回 最終回

平成二十二年二月号から始まったこの連載も今回で第六十回となり、最終回を迎えることとなりました。
これまでの連載では、3つのテーマをもうけて島村盛助氏について紹介してきました。(以下、敬称を略します。)
まず「島村家の系譜」を十五回にわたって連載し、盛助の曽祖父にあたる島村新右衛門(俳号・鬼吉)をはじめ、祖父・梅年、父・繁を紹介してきました。そして盛助の生涯についても見つかった写真や書籍などとともに紹介しました。
次いで「作品紹介」では、三十回にわたって盛助の手がけた作品を紹介してきました。これまでの調査で、多くの作品を確認することができましたが、まだまだ確認できていない作品があると思われます。限られた地域で発行された文芸雑誌に掲載されていた事例もあることを考えると、盛助の総ての作品をご紹介できるまでには、引き続き時間をかけて調査を行う必要があるでしょう。
そして「『盛助』を語る」では、十三回にわたって盛助について執筆されたものや、教えを受けた方々に直接お会いして聞くことができたお話しなどの中から、氏の思い出について紹介してきました。しかしながら、盛助が亡くなってから六十有余年が過ぎ、関係の方々もご高齢になっていることを考えると、今後はお会いしての調査などが難しくなっていってしまうと思われ、焦燥感に駆られます。
また資料などが見つかっていれば、紹介するテーマとして取り上げたかった話題も多々ありました。例えばイギリスではどこに滞在していたのか、どんな研究をしてきたのか、また、英和辞典の編さんにおいても、編さん過程はどのような様子だったのか、足掛け七年の歳月を要したのは何故だったのかなど、まだまだわかっていないことがたくさんあります。
昨年十一月一日から十二月二十七日まで特別展「英文学者 島村盛助2」を関係者各位のご協力のもと開催し、多くの貴重な史料を展示することができました。今後は引き続き前述の不明な点を明らかにしていくための調査を行い、皆さんにあらためてご報告できる日が来ることを願いつつ、「宮代の偉人 島村盛助」の連載を終了させていただきます。五年間、ご高覧くださりありがとうございました。