解題・説明
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【判型】大本2巻2冊。 【作者】大庭発(松栞)書・跋。 【年代等】慶応4年(1868)9月跋・書。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「一筆啓上、公方様、大納言様、益御機嫌能被成御座、恐悦至極奉存候…」で始まる全編1通の披露状形式で、大坂の治安や物産について記した往来。上巻に大坂城代・政治組織・治安状況・商取引の情勢、下巻に各町の生活・産物・商売・遊楽の様子などを記す。まず城内静謐や市中繁栄を讚えて、犯罪・事件の取締、裁判・処罰等に関する語句を掲げ、以下、組織・諸役人、諸手続き・関係書類、治安の実際など詳細に記す。続いて下巻に、社会・風俗・諸職・諸商売・防火防災・宗旨改め、また、家族・血縁等の人倫、身体各部の名称、妙薬・養生、衣類等の語彙を列挙する。全体として、政治組織や治安、また社会生活に重点を置くのが特徴。 【備考】現存本は三次本のほか、明治3年写本(全1冊、小泉本)が発見されているが、両者の本文には随所に異同がある。(小泉吉永 記)
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