解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不明。 【年代等】江戸後期書。 【概要】分類「往来物(地理科・産業科)」。現在の京都府南部の山崎町付近の地理、特に産物と流通関係を主題に綴った往来。まず、「凡、座方商売者、第一、杉・桧・椴・栂、材木、角・丸太…」と材木や領地の種類、また、これらの輸送手順や手続きに関する語句を列挙する。若干の心得にも言及しており、例えば、問屋に関しては、取り扱う商用文書の種類を挙げつつ、勘定・差引・取遣の算用が滞らないようにと諭す。また、町方で売買される周辺諸地域からの商品名を羅列し、さらに後半で養蚕・蔵米の売買上の注意や、食品・家財・諸道具など生活関連語彙や、諸職人・町内警備・諸商売関連の語彙を挙げる。名所旧跡や風俗には全く触れずに、物産や流通に焦点を絞る点で、交通の要地としての特色をよく反映した往来といえよう。 【備考】表紙に「本主新吉」と旧蔵者名を記す(本文と同筆)がこれは本書を授ける際に手習師匠が記名したものであろう。(小泉吉永 記)
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