解題・説明
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【判型】枡形本2巻2冊。 【作者】武田信晟(たけだのぶてる、武田采女正・菅原信晟)書。 【年代等】慶安3年(1650)書。 【概要】分類「往来物(消息科)」。上巻は早稲田大学蔵、下巻は三次市立図書館蔵。いずれも綴葉装の写本で、上巻末尾に「庚寅皆月書之」と記すが、内容から慶安3年書と思われる。上巻は9月を除く各月の書状11通。多くが五節句祝儀状などの四季消息で、「吉利支丹・伴天連宗旨、并博奕・諸勝負、盗賊、無主牢人隠抱置事、堅御法度候条、町中無怠慢、可被触知者也」といった条目を丸々引用した箇所もある。下巻は各月1通の計12通。新年祝儀に奉書紙を贈る書状から歳暮祝儀状までを載せるが、上巻同様に四季の景趣・佳節に伴う贈答品が題材の中心である。上下巻とも大字・3行・無訓の手本用に作る。差出人名はすべて中層武家名で、宛名を記さない。また、準漢文体書簡中に「かしこ」の崩し字を用いた例文を数通含むのも特徴。なお、上下巻の末尾に「御免筆」および「武田采女正 菅原 信晟朝臣」の朱印を押す。 【備考】作者、年代等は早稲田大学蔵本(本書上巻、ただし書名を「和筆往来」と誤読)による。三次本表紙に「阿弥陀寺第八世隠■」「鑑師之逸民、比丘益善」などの書き入れがある。(小泉吉永 記)
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