解題・説明
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【判型】特大本1冊。 【作者】伊勢貞丈(平蔵・安斎)注。光棣書。 【年代等】安永3年(1774)6月序。江戸後期書。 【概要】分類「往来物(古往来)」。異称『庭訓往来諸抄大成附翼』『庭訓往来抄』。『庭訓往来』の注釈書の1つ。特に永井如瓶作『庭訓往来諺解大成』の増訂を期した要語解を主としたもの。すなわち『庭訓往来』の本文を掲げることなく、冒頭から「幸甚、貞丈云、西土ノ詞ニテハ、ヨキシアハセト云事ニテ、我身ノ上ヲ云。此所ノ文ニテハ向ノ人、石見守ニ対シテヨキ御シアハセナリト云意ナリ」のように任意の語句を掲げて施注する。『諺解』にも増して考証的態度に徹するのが特徴。巻頭序文では『庭訓往来』の作者や書名、また成立についての考察を掲げるが、序文末尾で『十二月往来』『新十二月往来』『明衡往来』を模して『庭訓往来』が作られ、『庭訓往来』にならって『尺素往来』が編まれたとし、「…永井氏(如瓶)が『諸抄大成』を善とす。取るべき者十に八、九也。然ども猶誤者あり、精からざる者あり。予が首書は『諸抄大成』の扶翼なる者也」と記す。 【備考】巻末に「これは伊勢貞丈「諸抄大成」に標註して、多賀常政におくられしを、大久保忠寄別冊となしたまひぬる也。予、乞得てうつし侍りけるとぞしかいふ、平勝睿思遠甫文庫」の識語を付す。(小泉吉永 記)
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