解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】寺沢政辰書。 【年代等】正徳・享保(1711~36)頃刊。[京都]薮田板。 【概要】分類「往来物(消息科・語彙科)」。同様の書名だが寛文9年(1669)刊『大和往来』とは別内容。(1)用文章、(2)筆法心得、(3)詩歌、(4)かな文、(5)女子教訓、(6)国尽、(7)官名を綴った寺沢流手本。(1)は、献上品披露の礼状や屋敷拝領を祝う手紙、参府・着府に伴う報告・礼状、端午祝儀の礼状、出産・婚礼に伴う書状など公私にわたる武家用文17通。(2)は、筆道初心者の心得を述べた小文。(3)は、『古今和歌集』『和漢朗詠集』等から抜粋した詩歌12編。(4)は、仮名主体の女子消息文で、初夏の山の趣を伝える文以下10通。(5)は、懈怠を戒める教訓文。(6)は、表題に『諸国』とあるが一般に『大日本国尽』と呼ばれるもの。(7)は、太政大臣以下約90の官名を列挙したもの。いずれも大字・4行・無訓((6)・(7)は付訓)で記す。なお、本書には宝永3年(1706)刊『〈玉置〉かな手本』の影響が明らかである。(小泉吉永 記)
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