解題・説明
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【判型】半紙本1冊。 【作者】戒珠庵慧光(竜崎某)作。 【年代等】天保15年(1844)1月作・刊。[三浦]戒珠庵慧光蔵板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。相模国三浦郡(神奈川県三浦市一体)における沿革・地勢風土・名所旧跡・神社仏閣・物産等を記した往来。「新春之佳辰、千里同風、富貴万福、自他無際限、重畳目出度祝納候…」で始まる新年祝儀状の形式で、陸地が狭く三方を海浜に囲まれた地形や三浦という地名の由来に言及し、この地は「田舎之最中(もなか)」であるが『源平盛衰記』や『東鑑』に出てくる居城や神社仏閣なども数多いことを述べて、以下、三浦平太夫為通に始まる同地の歴史、三浦郡各地の由来・沿革、産業・産物等を紹介し、「因茲、先々千秋楽を謡ひ、君が千世目出度八千代万々歳と祝留め候。穴賢」と結ぶ。本文をやや小字・8行・無訓で記す。跋文に老衰して執筆し難いが後世初学児童のために本書を綴った旨を述べ、最後に「三浦大津邑池田竜崎氏、戒珠庵慧光編述、行年八十二」と記す。同地方の私家版の往来として貴重である。(小泉吉永 記)
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