解題・説明
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【判型】大本2巻2冊。 【作者】宇保某作。慎斎書。艮斎跋。 【年代等】享保10年(1725)3月刊。[大阪]敦賀屋九兵衛板。 【概要】分類「往来物(女子用)」。享保10年初板本の序文によれば、本書は京都の宇保某が娘のために書き綴った教訓文という。金言・俚諺・教訓歌や和漢貞女・節婦の故事を引きながら、「孝行の道をしへの事」から「心のかか見といへる事」まで29項(孝行、婚姻、舅姑への孝、夫への服従、他人との和順、堪忍、報恩、その他心の修養、婦女四徳、教養等)にわたって述べる。また、本文の主題に沿った「忍の字訓の歌」「心つよからぬおしへの歌」「独をつつしむ訓歌」等の教訓歌と挿絵を随所に掲げる。本文をやや小字・9行・所々付訓で記す。『女小学』には約30種の板種があり、江戸後期にかけて『女小学教艸』『女小学教鑑』『女小学宝文庫』『女小学姫鏡』『女小学操鏡』『女小学操艸』等の書名で次々と出版されたが、後世への影響力の点では享保板よりもそれを大幅改訂した宝暦13年(1763)刊『女小学教艸』の方が重要である。 【備考】『女小学』は初板本以来、大坂書肆・敦賀屋九兵衛の看板商品であり、享保板を大幅改定した『女小学教艸』を宝暦13年、天保4年(1833)、嘉永5年(1852)と何度も改刻して出版し続けた。(小泉吉永 記)
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