解題・説明
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【判型】半紙本1冊。 【作者】雲煙堂作・序。 【年代等】文化5年(1808)序・初刊。天保4年(1833)3月再刊。[京都]須原屋平左衛門ほか板。 【概要】分類「往来物(教訓科)」。『礼記』中の1編「曲礼(きょくらい)」を典拠として、「礼」の理念や礼儀作法のあらましを漢字5字1句の文章で綴った往来。「夫礼本於天、骰於地以定、人道莫大礼、精神之所寓…」で始まる全298句から成る。まず礼の起源や、人倫の基本としての礼に言及しながら「礼」の大意を述べ、さらに個々の人間関係や日常生活における礼儀の在りようを諭し、進退、食礼・座礼、普請・祭祀に伴う礼など、一生の礼儀作法について説く。具体的記述が中心の小笠原礼法書とは正反対に、本書は抽象的記述が中心である。本文を大字・6行大(1行2句)・ほとんど付訓で記し、2~4句毎に細字の割注を施す。また、和漢・尊卑の風俗画数葉を挟む。 【備考】書袋付き。この書袋には、「此書は曲礼中のその要務なるものを抄し、且、童子の覚やすからんことを欲し、これを五字づゝに約す。その手ならふはじめより、よりよりこれをおしへみちびかば、おのづから礼譲の一端をもしるをもて、外の教草にまさること多からんか…」と本書の概要(序文と同文)を記す。店頭で書袋入りで販売しても、概要が分かるようにとの工夫であろう。(小泉吉永 記)
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