解題・説明
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【判型】半紙本1冊。 【作者】不明。 【年代等】文化13年(1816)9月刊。[大阪]北尾善七ほか板。 【概要】分類「往来物(産業科)」。「百姓往来(農業田家百姓状)」と「農民教訓状」を合綴した往来。前半の「百姓往来」は流布本「百性往来豊年蔵」とは異なり、「夫、農業之田家産輩者、従幼稚之時、耕作之道第一心委、不学無益芸能、不荘衣服花美、不欲酒食佳味之奢…」と起筆して最初から農家児童の心得を説き、続いて、地方全般、種蒔・植付など四季耕作、穀類、その他栽培すべき作物と農地利用、農業施設・農具、巡見・検地、納税・雑役、村役人と農村経営、文書・帳簿類に関する語彙や知識を列挙し、最後に再び若干の農民心得を説いたもの。後半「農民教訓状」は、文政13年(1830)刊「〈農民専用〉百姓往来」所収の「農民教訓状」と同内容で、「農民教訓状」は、「夫、四民之内士之外者、農人・職工人(しょくにん)・商人(あきうど)共皆百姓云也…」で始まる文章で、主に町人(工・商)と農民の生活を対比させながら、農村生活の有利な点や気楽さを強調しつつ、このような農民を優遇した仁政に感謝して農業に専念し、油断なく納税・夫役を全うすべきと諭す。いずれも本文を大字・5行・付訓で記し、本文中に挿絵数葉を載せる。巻頭に「種機(たなばた)之由来」「社日之図」「野社講之図」「三社御託宣」、頭書に「木棉之辨」「農家節用字尽」「手織木綿早積」「下機道具之図」「木綿斤目」「〈男女相性〉名頭字尽」「知死期繰様」「九九之次第」「諸人家職を司給ふ神」「諸証文公案」、巻末に「十干十二支図」「十二月異名」「片仮名イロハ」「御改正服忌令」「潮汐満干」「四季地震占」「守本尊を知る歌」「大数・小数」「男女相性之事」「小諷早伝授」「妙薬頓知袋」「田法之事」「風年中耕作吉凶」等の記事を掲げる。(小泉吉永 記)
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