解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不明。 【年代等】正保2年(1645)4月刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(消息科)」。「新春之御慶賀重畳申籠候畢。抑子日御会難忘存候…」で始まる新年状以下毎月1通、1年12カ月12通の消息文から成る代表的な消息科往来。初板本は大字・6行・所々付訓(片仮名)で記す。1月「新年の会案内状」、2月「梅花の庭園に訪問を乞う手紙」、3月「千句の会につき諸道具の借用を申し入れる手紙」、4月「初瀬寺参詣の様子を伝える手紙」、5月「五月雨の退屈を訴える手紙」、6月「納涼の宴開催を念願する手紙」、7月「北野神社の七夕行事の誘引状」、8月「観月の会についての手紙」、9月「近況報告と詩歌を披露する手紙」、10月「管弦の会の感想などを述べた手紙」、11月「雪見誘引状」、12月「歳暮祝儀状」というように、四季の行事や風物を題材とする。本書は編集形式や内容に古往来の影響が見られる一方、近世の消息科往来の先駆的役割も果たした。底本は最古本の寛永17年(1640)板に続く古板で、本文を大字・6行・所々付訓で記す。 【備考】本書は寛永17年(1640)板を始祖として、江戸末期まで多種多様の板種が見られるほか、本書をサ山流の大字手本に認めた『春夏往来・秋冬往来』という改題本もある。(小泉吉永 記)
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