[植物相]

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 狭山丘陵の植物については、東京薬科大学植物研究部が1962年~1967年に狭山丘陵全域を対象に現地調査を実施してまとめた『狭山丘陵の植物』(1967)と、東京都立武蔵村山高等学校生物部が1979年から10年間の現地確認種の記録をまとめた『狭山丘陵動植物調査報告書』(1989)が、初期の文献として最も充実している。東京薬科大学植物研究部はそれまでの文献も含め、狭山丘陵に産するシダおよび種子植物の確認種、987種の目録を作成、東京都立武蔵村山高等学校生物部は植物以外の動物についても目録を作成しているが、シダおよび種子植物の確認種としては576種の目録を作成している。そして埼玉県環境部自然保護課は、1995年に公表した『狭山丘陵いきものふれあいの里・自然環境調査報告書」において、上記2文献を含むそれまでの既存文献・資料を整理し、155科1,279種の植物種を記載した「狭山丘陵産植物目録」を作成している。これらの調査報告によって、狭山丘陵の植物相の全体像はほぼ把握されたといってよい。狭山丘陵で記録された植物種数は、資料の発表年代の違いもあるが武蔵野全体の8割に達している。武蔵野と呼ばれる地域のごく一角を占めるにすぎない狭山丘陵だけで、これほど多くの植物が生育していることは注目に値する。また、この植物相の豊かさが、後に述べる動物相の豊かさを支えているといえよう。
表-2 狭山丘陵で記録のある高等植物の分類別種数
高 等 植 物狭山丘陵※1武蔵野※2
シダ植物2110298



裸子植物72111



単子葉植物19331439
双子葉植物離弁花類76513619
合弁花類32312396
合計1551,2791,563
※1=埼玉県環境部(1995) ※2=檜山庫三(1965)