日本の高等植物に限っていうと、絶滅の危機にある種が全体の4分の1ほどの数にのぼり、その半数程までが狭山丘陵のような里山を生育地とするものだという。埼玉県環境部自然保護課は『狭山丘陵いきものふれあいの里・自然環境調査報告書』(1995)において、狭山丘陵で記録された植物を『我が国における保護上重要な植物種の現状』(1989)に照らし合わせ、全国レベルで特に保護が望まれる重要植物の内最も絶滅危険性の高い「絶滅危惧種」としては、ヤブムグラ、オオアブノメ、フジバカマ、トダスゲの4種、次いで減少の著しい「危急種」としてミズニラ、トキホコリ、オンタケブシ、フクジュソウ、オキナグサ、カンアオイ、タマノカンアオイ、ノジトラノオ、ミゾコウジュ、オオヒキヨモギ、ヒロハマナ、ヤマトミクリ、エビネ、クマガイソウの14種、近年国内での分布状況が明らかでない「現状不明種」としてトウシャジンをあげている。
また、関東平野部および首都圏域で減少の著しいと思われる種を、地域レベルで保護が望まれる植物として、ミズスギ、アカハナワラビ、ナガホノナツノハナワラビ、ミヤコヤブソテツ、オシダ、ホソイノデ、サカゲイノデ、サンショウモ、カワラナデシコ、フシグロセンノウ、オオヤマフスマ、ヤマトリカブト、イチリンソウ、イカリソウ、ハンゲショウ、モウセンゴケ、ヤマブキソウ、ウメバチソウ、レンリソウ、ミシマサイコ、アキノギンリョウソウ、ギンリョウソウ、マルバノイチヤクソウ、レンゲツツジ、クサレダマ、シオガマギク、マツムシソウ、サワギキョウ、キキョウ、オオニガナ、カタクリ、ワニグチソウ、キチジョウソウ、サルマメ、ノハナショウブ、カキツバタ、ヒロハノコウガイゼキショウ、イトイヌノヒゲ、ニッポンイヌノヒゲ、ヒロハイヌノヒゲ、ハイチゴザサ、エゾノサヤヌカグサ、ヒメザゼンソウ、ミヤマシラスゲ、オニナルコスゲ、コホタルイ、ヒメホタルイ、ギンラン、ユウシュンラン、カキラン、ムカゴソウ、ジガバチソウ、クモキリソウ、ミズチドリ、ツレサギソウ、オオバノトンボソウ、ヤマトキソウ、カヤランの58種をあげている。