2)代償植生

11 ~ 13 / 154ページ
 ごく限られた自然植生を除けば丘陵の植生のほとんどは代償植生である。その中でも最もよく見られる植生、クヌギ・コナラ群集は丘陵の林を代表する二次林、いわゆる雑木林である。これらの樹林地の植生を植物社会学的な観点から見ると、コナラ―クヌギ群集・コナラ―クリ群集・アカマツ―ヤマツツジ群集の3つに区分され、面積的には現在においてもこれらの林分が圧倒的に広い。近年にいたるまで雑木林として維持・管理されてきた二次林は、萌芽更新によって形成されたもので、従って高木層を欠き、また下刈りのため低木層も未発達なものも多かったが、現在では放置されたまま60年、あるいはそれ以上も経過しているため、階層構造もよく発達したものが少なくない。図-2に示したのは現在瑞穂ビューパークとなっている場所を1987年に調査した際の二次林の構造である。このような林の亜高木層には、エゴノキ、コナラ、アオハダ、スギ、ヒノキなどが目立っている。また低木層には、高木層・亜高木層に出現する樹種のほかリョウブ、ノリウツギ、イヌシデ、ヤマウルシ、ヒサカキなど多くの種が現れる。草本層にはアズマネザサが圧倒的に目立つ林も多い。

図-2 二次林の構造
瑞穂自然科学同好会(1987)より

森林以外の場所も含めた狭山丘陵における代表的な植物群落を整理すると、以下のとおりである。
■自然植生
A 常緑広葉樹林(照葉樹林)
 シラカシ群集
    ケヤキ亜群集
    モミ亜群集
B 湿性林
 ハンノキ―オニスゲ群集
 
■代償植生
C 夏緑広葉樹林
 コナラ―クヌギ群集
 コナラ―クリ群集
 アカマツ―ヤマツツジ群集
D 低層湿原草本植物群落
 ヨシ群集
 カサスゲ群集
E 刈取草本植物群落
 ススキ―アズマネザサ群集
F 路上・踏跡群落
 オオバコ―カゼクサ群集
G 畑地雑草群落
 ニシキソウ―カラスビシャク群集
H 水田雑草群落
 コナギ―ウリカワ群集
I 植林・その他
 スギ・ヒノキ植林
 アカマツ植林
 モウソウチク・マダケ林
 落葉果樹園
 茶畑
 人工草地