夜行性のものが多い哺乳類は、目撃することが少なく一般的になじみの薄い生き物である。その生息を確認するためには、足跡、糞、食痕、巣穴などのフィールドサインと呼ばれる痕跡を探すことになる。しかし残念なことに、近年の狭山丘陵周辺では、交通事故によって存在が明らかにされる哺乳類もいる。
埼玉県環境部自然保護課は、『狭山丘陵いきものふれあいの里・自然環境調査報告書』(1995)において、それまでの既存文献・資料から狭山丘陵の哺乳類として5目7科14種の哺乳類をあげている。中型獣としては、タヌキ、キツネ、イタチの3種の食肉類にノウサギを加えた4種類で、他はネズミ類が7種、モグラ類が2種、コウモリ類が1種である。これらはいずれも狭山丘陵に自然に生息していた在来種と考えられる。ここではその後の報告書や情報も含め、狭山丘陵で記録のある哺乳類として表-5に7目12科25種のリストをあげた。しかし、この約10年間で新たに確認された哺乳類11種の内、半数以上になる6種までが、在来種の生態系に影響を与えるといわれ、近年特に問題視されている移入種(外来種)であった。
目 | 科 | 種 |
モグラ | トガリネズミ | ジネズミ |
モグラ | ヒミズ※1 |
アズマモグラ |
コウモリ | ヒナコウモリ | アブラコウモリ |
ヤマコウモリ※2 |
サル | オナガザル | ニホンザル※3 |
ウサギ | ウサギ | キュウシュウノウサギ |
ネズミ | リス | ハイガシラリス● |
キタリス● |
ニホンリス○ |
シマリス● |
ネズミ | アカネズミ |
ヒメネズミ |
カヤネズミ |
ハタネズミ |
ハツカネズミ |
クマネズミ |
ドブネズミ |
ネコ | アライグマ | アライグマ● |
イヌ | ホンドタヌキ |
ホンドギツネ |
イタチ | イタチ |
アナグマ※3 |
ジャコウネコ | ハクビシン● |
ウシ | シカ | ホンドジカ※3 |
7目 | 12科 | 25種 |
※1 | 出典:(財)トトロのふるさと財団(2000) |
※2 | 出典:埼玉県環境生活部(1998) |
※3 | 出典:私信(1999・2000・2006) |
○ | 国内他地域からの移入種 |
● | 外来種 |