2 外来種(移入種)

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 先に述べたように、近年は外来種の目撃情報や死体の発見数が多くなっている。狭山丘陵のリスの自然分布については、以前からないものとされてきた。その理由は、長い間狭山丘陵で探鳥を続けてきた人たちの間で、昼行性であるリスの目撃例が皆無であったからである。1980年代後半からこれまでにリス類は4種記録されている。このことから、表-5に示した外来種の3種は当然のこととして、ニホンリスについても他地域からの人為的な移入と考えられる。
 1998年7月22日、および同年9月9日に瑞穂町の路上で発見されたリスの死体は、ミトコンドリアDNA(チトクロムb遺伝子の塩基配列)の鑑定により本来北海道や大陸に生息するキタリスと同定された。このことでこれまでニホンリスとして記録されてきたものもキタリスである可能性を否定できなくなった。筆者は東大和市の狭山緑地内でハイガシラリス(通称タイワンリス)を観察(1990年頃)したが、これやシマリスの記録は前種に比べると稀である。1980年代後半、狭山丘陵の西部地域から始まったリス類の目撃情報は、次第に東方へ拡大し、1990年代後半には丘陵東部の東村山市の八国山でも目撃されるようになった。しかし、個体数の急激な増加は報告されていない。オオタカ等猛禽類が多い狭山丘陵では、昼行性のリス類は捕食されやすく増殖しにくいものと考えられる。
 ハクビシンはホンドタヌキに次ぐほど目撃例が多く、一定数が丘陵に定着したものと考えられる。しかし、ハクビシンの場合、樹洞性のためか人家の屋根裏に棲み着いた例(2005年10月瑞穂町駒形富士山等)や、丘陵周辺の道路を横断する姿(2005年所沢市三ヶ島)を目にするなど、丘陵内部だけでなく周囲や時には市街地(2000年所沢市小手指や東大和市南街)も含む広い範囲に生息しているものと思われる。
 アライグマは北米原産の外来種で、日本では1960年代から愛知県等で野生化が知られていたが、近年急に各地で増加し各方面で被害を及ぼしている。狭山丘陵でも目撃(1990年秋~1992年東大和市高木、2005年瑞穂町石畑など)されている。今後水辺に生息する両生類や生活圏の似た在来種、ホンドタヌキへの影響が心配される。