3 保護が望まれる哺乳類について

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 狭山丘陵で確認された哺乳類の中で、保護的価値を有する哺乳類としては、ホンドギツネ、アナグマ、カヤネズミの3種があげられる。この3種は『日本の絶滅のおそれのある野生生物 脊椎動物編』(1991)に記載されてはいないものの、都市化の著しい首都近郊地において減少が著しく、地域的なレベルで保護対策が必要とされる種である。ホンドギツネは、生態系ピラミッドではオオタカと共に狭山丘陵で最大の高次消費者であり、その存在は自然環境の良否を示す総合的な指標といえるものである。関東平野部においても希少であり、その保護的重要性は高いものと考えられる。また、アナグマは山地に連なる加治丘陵等でも減少傾向にあるといわれ、埼玉県の低地帯では絶滅したと考えられている。狭山丘陵に定着していたとしたらホンドギツネ以上に希少である。
 カヤネズミは、ヨシ・オギ等の草丈の高い密生草地に生息するノネズミ類で、そうした草地は狭山丘陵では局地的に散在するだけで希少な種である。
 上記の3種は、狭山丘陵内においても生息数は多くないものと思われ、生息環境の積極的な保全が望まれる種といえよう。