2 陸鳥と水鳥(図-5)

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図-5 記録種の目別構成

 表-6に示した狭山丘陵産鳥類214種の目別の構成を見ると、最も記録種が多いのがスズメ目(89種41.6%)、次いでチドリ目(32種15.0%)、カモ目(22種10.3%)、タカ目(19種8.9%)、コウノトリ目(8種3.7%)と続く。次に目単位で陸鳥・水鳥の構成比に注目すると、陸鳥が10目136種(63.6%)、水鳥が8目78種(36.4%)となり陸鳥の記録種が圧倒的に多い。例えば全国の陸鳥約49%、水鳥約51%、埼玉県全域の場合でも陸鳥55%、水鳥45%であり、関東内陸部としても水鳥の割合が低いのは狭山丘陵の特徴である。これは大・中河川を生息域とするチドリ目の記録種が少ないことなどから、河川や池・湿地等の水辺環境の乏しさを反映したものと考えられる。狭山丘陵には貯水池の広大な開水面があるが、貯水池という役割から水位の変動が大きく、岸辺の環境は単純である。
 それにも増してワシタカ目およびフクロウ目、いわゆる猛禽類の豊富さは特筆すべきであろう。1980年頃より始まったオオタカの雛の密猟監視活動によって、狭山丘陵のオオタカは全国規模で有名になったが、現在もオオタカが繁殖し確実に観察できる丘陵として有名である。また、森林性陸鳥の種類は多く、これらの貴重な記録の多くは、狭山丘陵西部の瑞穂町域で報告(『鳥・みずほ』1994)されたものである。
 このほかに、狭山丘陵の鳥類として特筆すべき鳥は、カンムリカイツブリである。1960年代から渡来するようになり、毎年10月下旬から3月末まで貯水池で見られる。現在は200羽前後の安定した数が渡来し、その多くは山口貯水池に見られる。これは関東で最大級の規模である。