図-6 記録種の渡り区分
狭山丘陵の近年の記録状況を参考に、以下に示す渡り区分の基準に従い、表-6に各種毎の渡り区分を表示した。
留鳥: | 季節を問わず、1年を通じて狭山丘陵で記録のある種、又はそれに近い記録のある種。 |
夏鳥: | 主に春期から夏期の間に継続して記録がある種、特にその種の繁殖期間中に記録がある種。 |
冬鳥: | 主に秋期から春期の間に継続して記録がある種で、特に厳寒期の12月~1月の記録がある種。 |
通過鳥: | 主に春、秋の渡りの時期だけに記録がある種。また、季節に関わりなく短期間だけ記録のある種。 |
迷鳥: | 埼玉県および東京都(内陸部)に記録が少なく、明らかに狭山丘陵に迷行してきたと考えられる種。 |
狭山丘陵産鳥類を上記の渡り区分によって分類すると留鳥:40種(18.7%)、夏鳥:17種(7.9%)、冬鳥:46種(21.5%)、通過鳥:93種(43.5%)、迷鳥:18種(8.4%)に区分される。
通過鳥が最も多く、次いで冬鳥、留鳥、迷鳥、夏鳥の順である。このうち繁殖鳥を渡り区分との対応で見ると、年間を通じ狭山丘陵で見られる留鳥系の種と、夏期に渡来し繁殖する夏鳥系の種に分けられ、留鳥系が34種(70.8%)、夏鳥系が14種(29.2%)となり、合計で48種である。本来ならば留鳥と夏鳥は全57種が繁殖鳥と考えられるが、現時点では以上の理由により除外した種がある。
留鳥: | 集団で繁殖するゴイサギ、コサギ、アオサギは丘陵外で繁殖しているものと考えられること。トビは繁殖期に巣材をくわえる姿などを確認しているが、繁殖の確証を欠くため。イソシギの繁殖は確認されていない。コガラは1985年に繁殖を記録しているもののその後が不明のため。 |
夏鳥: | ミゾゴイ、ヨタカについては過去に繁殖記録があるものの、現在は確証を欠くため。集団で繁殖するササゴイは丘陵外で繁殖しているものと考えられること。 |
一方越冬鳥を渡り区分との対応でみると、年間を通じ狭山丘陵で見られる留鳥系の種と、冬期に渡来し越冬する冬鳥系の種に分けられ、留鳥系が40種(46.5%)、冬鳥系が46種(53.5%)で合計86種となる。
この結果から、狭山丘陵は夏期よりも冬期に生息種が多くなる越冬地型の傾向が強い土地といえよう。留鳥や夏鳥よりも冬鳥の種数が多いのもその傾向を表している。