狭山丘陵周囲の市町では、市町域を約500m四方に区分して、出現した鳥類を地図上に記録するメッシュ調査を行っている。入間市が繁殖期について1984年、1994年、2004年と10年おきに過去3回(『入間市の野鳥』1987等)、所沢市が繁殖期と越冬期について1985年(『所沢市の鳥相」1987)に、瑞穂町においても繁殖期について1992年に実施(『鳥・みずほ』1994)している。最近では2005年の繁殖期に市民団体・武蔵村山自然に学ぶ会と(財)トトロのふるさと財団が共同で武蔵村山市全域を対象にして実施している。筆者も参加した経験のある過去3回の入間市の調査結果を例にとると、1984年に出現した種で1994年、2004年と続けて未記録だったのはチュウサギ、サンショウクイ、チゴモズ、コサメビタキで、『入間市鳥類分布調査報告書』(2005)ではこの4種を繁殖については市内で絶滅としている。これは狭山丘陵でも同様である。また、注目すべきは、普段意識していないキセキレイ、セグロセキレイ、オナガ、スズメ、ムクドリ等も明らかに個体数が減少しているということである。1984年以来増加傾向にある種としてカワウ、アオサギ、オオタカ、ハクセキレイ、キビタキ、エナガ、ヤマガラ、メジロ、ハシブトガラス等をあげている。カワウ、アオサギの大型の魚食性鳥類は、全国的に増加しており内水面漁業界では食害が問題視されているが、増加の原因は不明である。ヤマガラ、メジロ等の照葉樹の森林性鳥類の増加は、本来の手入れされた雑木林からより遷移の進んだ森林環境への移行を反映したものと考えられる。ハシブトガラスについては、人間の生活から出るゴミの量に比例したためとみて良いだろう。