2 保護が望まれる両生類について

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 狭山丘陵で記録のある両生類のうち、『日本の絶滅のおそれのある野生動物 脊椎動物編』(1991)に記載され、全国的に減少が著しく積極的な保護対策が必要とされる種として、「東京都のサンショウウオ」があげられる。これは「絶滅のおそれのある地域個体群」レベルで同書にとりあげられているものである。サンショウウオのような移動能力の小さな動物は、他地域の個体群との交流が全くない独立した個体群と考えられ、地域的特性の極めて大きなものと思われる。そのような観点から狭山丘陵のトウキョウサンショウウオの保護的重要性は高いものがあるといえよう。狭山丘陵内におけるトウキョウサンショウウオの分布は、東部地域での生息確認例はあまりなく、丘陵の中心部や西部地域に限られてきている。
 地域的なレベルで減少が著しく保護が望まれる種としては、イモリがあげられる。イモリはかつて平野部の水域で普通に見られた有尾類であったが、農薬等による水質の悪化、水域の人工的改変による生息地の喪失によって埼玉県平野部における安定的な生息地は現在のところ皆無の状況にある。狭山丘陵においては、丘陵奥部で捕獲記録(東京都1988)があり、筆者も1998年~2005年にかけ丘陵周囲の2つの谷戸で生息を確認している。2000年5月20日には水中で後肢2本を使い落ち葉を挟む産卵と思われる行動を観察した。ただし、現在も生息を確認できるもののごく少数であると推察される。