3 近隣の他丘陵との比較

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 狭山丘陵の北方に位置する加治丘陵では、狭山丘陵で記録のないカジカガエルの生息が認められている。その理由として同種は、基本的に低山から山地の清流に棲む種で、加治丘陵から流れ出る谷戸の細流は直接的にカジカガエルが生息する北側の入間川に合流しているためと考えられる。また、南方に位置する多摩丘陵では狭山丘陵で記録されていないタゴガエルが確認されている。これも多摩丘陵は山地と連続しているためと考えられる。
 現在も青梅市等、奥多摩で普通に見られるモリアオガエルについては、狭山丘陵では過去に生息していた記録はあるものの、現在は生息していないものと思われる。生息に適した環境はあってもこれら低山から山地に生息する3種のカエルの分布を欠くのは、狭山丘陵の特徴といえよう。