狭山丘陵における魚類・円口類の生息する主な水域としては、広大な貯水池である村山貯水池(151.4ha)・山口貯水池(189.3ha)とこれらに注ぐ中小の沢、そして谷戸の上部に見られる規模の小さな溜池等がある。また、狭山丘陵から流れ出て多摩川水系や荒川水系へとつながる中小河川がある。このうち村山貯水池へは多摩川の羽村取水堰から、山口貯水池へは同じく小作取水堰から導水管を通じて取水しているため、両貯水池に生息する魚類は多摩川上流域の生息魚種の影響を大きく受けている。両貯水池の魚類相としては、多摩川上・中流域の在来種のみならず、タイリクバラタナゴ、カムルチー、オオクチバス等の外来種、また、多摩川のアユの放流等に伴うホンモロコやゲンゴロウブナ等の国内移入種も混入・増加し、狭山丘陵内の水域における魚類・円口類相は、人為的な偏向がかなりの程度で進んでいる。近年話題に上ることの多いメダカについても、所沢市山口の菩提樹池(1997年7月27日)、入間市宮寺のさいたま緑の森博物館水鳥の池(1997年11月15日)、入間市宮寺の大森調整池(1998年5月4日)等で記録されているが、大森調整池で捕獲されたメダカは、核の遺伝子のアロザイム(アイソザイム)分析の結果から小田原産の集団に最も近かったと報告されている。現在丘陵で見られる魚種の6割以上が何らかの人為的な移入種であることは誠に残念である。