2 在来種

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 本来狭山丘陵内においては、源流部の沢とその下流に見られたであろう小川、そして溜池が魚類・円口類の主要な生息環境になっていたと考えられる。このうち、小川の消失に伴って現在狭山湖堤防下の柳瀬川上流域にわずかに生息しているとされる、ミヤコタナゴ、ヤリタナゴや、丘陵奥部の金堀沢でごく少数記録されたムサシトミヨ等の清流性の希少魚類は、貯水池の造成と共に絶滅に瀕することになったことが推察される。上記の経緯を踏まえ、狭山丘陵本来の魚類・円口類相を今に伝える特徴的な種類としてあげられるのは、スナヤツメ、アブラハヤ、ホトケドジョウ、トウヨシノボリ等の丘陵奥部の沢に生息する魚種といえる。
 この他、狭山丘陵から流れ出る残堀川、空堀川といった小河川は、多摩川や荒川の支流である。ウグイ、オイカワ、コイ、ギンブナ、キンブナ等は、これらの水系から自然状態で遡上してきたものと推察し、この報告では狭山丘陵の在来魚種を合計で14種とした。