ミヤコタナゴとムサシトミヨの2種は、全国レベルで絶滅の危険性が最も高い「絶滅危惧種」に区分され保護的重要性の極めて高い魚種である。また、ミヤコタナゴは国の天然記念物、ムサシトミヨは埼玉県の天然記念物および「埼玉県の魚」にも指定されている。ミヤコタナゴは1978年に柳瀬川で、そしてムサシトミヨは1984年に金堀沢で記録されたものであるが、いずれも小域・少個体数の生息が知られたのみであり、現存しているか否かは不明である。
狭山丘陵の魚類として特徴的なことがある。それはドジョウとホトケドジョウの個体数である。一般的に地域的なレベルで減少が著しく保護が望まれる種としてホトケドジョウが取り上げられるが、ドジョウについて語られることはあまりない。しかし、狭山丘陵の場合希少的価値としてはドジョウの方が高く、調査で得られる記録も少ない。これは狭山丘陵の水田がいかに減少したかを物語る例である。他に、地域的なレベルで保護が望まれる種としては、スナヤツメがあげられる。平野部の冷涼な源流近くの沢を主な生息環境としている円口類であり、そうした環境の喪失と共に各地で減少しているといわれている。スナヤツメは金堀沢以外での確認例は少ない。