植物は、草と樹木に分けて扱われることがよくあるので、ここでもその例に従った。
一般的な図鑑などでの草(草本)と木や樹木(木本)の区別は、植物学的に本質的なものではない。『日本の野生植物 木本Ⅰ』(原寛ほか1989、平凡社)によると、「多年性で、茎の維管束内にある形成層の活動によって二次肥大生長を行い、木部組織の発達をするものを木本という。厳密にいえば、コケモモやガンコウランのような高さが数cmにすぎないものでも木であり、タケ類やヤシ類のようなものは木ではない。」(まえがき)とある。
一般的には、草のような形状をもつものを〝草〟、木のような形状をもつものを〝木や樹木〟と呼んでいて、感覚的に分けられている部分がある。そのため同じ種であっても、図鑑などによっては一方では草本に、一方では木本に区分されている種も出てくる。たとえば、ユリ科のサルトリイバラは半低木だが、草本として扱われている場合と木本として扱われている場合とがある。また、キク科のコウヤボウキは小低木だが、ほとんどの図鑑で草本として扱われている。