初夏から夏の草花

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 6月になると、木々も生い茂り葉の色もすっかり濃くなり、次第に春の花が姿を消してゆく。雑木林では、チダケサシやホタルブクロなどが咲き出す。梅雨の頃になると、オカトラノオが花穂を伸ばし出し、ギンリョウソウなども見られるようになる。ギンリョウソウには葉緑素がなく、落ち葉などを分解する菌類から栄養を得ている。そのため日の光のとどかない暗い場所でも生育できる。
 夏に咲くユリの仲間は、大きな花をつけるものが多く、田んぼの脇などではノカンゾウやヤブカンゾウのオレンジ色の花が目に付くようになり、林内ではヤマユリやウバユリ、オオバギボウシなどが見られるようになる。ウバユリの名は、花が咲く時期に葉が枯れていることから〝歯(葉)がない〟の語呂合わせから〝姥〟に例えてつけられた、といわれているが、実際には花が咲いている時期でも葉が枯れていないものがほとんどのように思われる。
 夜に花を開くものもある。カラスウリは、秋に赤い実をつけるが、花は夏の夜に咲き、日が昇るとしぼんでしまう。白くて花びらの周りに糸を沢山つけたような独特の形をしている。
ホタルブクロオカトラノオウバユリ
ホタルブクロオカトラノオウバユリ

ギンリョウソウカラスウリ
ギンリョウソウカラスウリ