狭山丘陵をはじめ、武蔵野の面影を残す平地林や屋敷林など、昔ながらの風景を残しており、これらの貴重な緑は、まちづくりを進めるうえで計画的に保全を図り、後世に引き継いでいく必要があった。
緑は、そこに生息する生き物を育み、人々の生活に潤いや安らぎを与えてくれるだけでなく、昨今社会問題化しているヒートアイランド現象の緩和に極めて有効であり、地球規模で進行する温暖化現象の抑制にもその効果は大きい。
国では「都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律」及び「都市緑地保全法」などにより、民有地の樹木や樹林地等を保全するため、地方自治体に対して調査および補助金の交付等を実施している。都においても「東京都における自然の保護と回復に関する条例」により、平地林を買い上げ保全地域に指定する事業等を実施している。
法や都条例の下、瑞穂町においても樹木や平地林を保全するため、町独自の条例制定等の制度整備が「緑の基本計画」及び「長期総合計画」で検討課題とされていた。この解決に向け、平成14年度に「緑の保全実施計画」を策定し、それに基づき「瑞穂町樹木及び樹林地の保存に関する条例」を制定した。同条例は平成15年4月より施行され、町内に広がる樹林地や、市街地に残された大樹や屋敷林を可能な限り保存指定し、町の景観の保全並びに緑潤うまちづくりに取り組み始めた。その甲斐あって、随時保存指定がなされ、かけがえのない緑を後世に引き継ぐ基盤が整った。
瑞穂町に残る平地林(1999年撮影)