上梓のことば


 このたび四か年の歳月を費して、ここに『守谷町史』の刊行をみるにいたりました。
 守谷町の歴史については、すでに当町出身の文学博士、斉藤隆三氏が学生時代に書いた『守谷誌』が、戦後ふたたび同氏によって『改訂増補守谷誌』として出版され名著として知られています。さらに昭和四十七年には当町大木出身の郷土史研究家高梨輝憲氏によって『守谷町の歴史』近世編が出版され、いずれも高く評価されています。
 近年守谷町も住宅都市整備公団による常総ニュータウンとして、大型の宅地開発が行われ、また郷州原には三井不動産による「みずき野町」がパークシティの名称で、首都圏内の一都邑として近代都市化を目ざして将来に向って大きく伸びようとしております。そして、目下全国各地から新しい住民の方々がこの守谷町を永住の地と定め、大きな夢と希望を抱いて入居してまいりました。
 この方々を温く迎える意味でも、また、失いつつある昔の守谷町の姿を子孫に伝えるためにも、私達の郷土がどのような歴史をたどり、先人達がどのように苦労の汗を流したかを知るためにも『守谷町史』編さんの必要性を痛感してきたわけであります。
 このたび完成した『守谷町史』を永く後世にのこすと共に、多くの町民の方々に愛読していただくことによって古代から近代までの郷土に理解を深め、今後ますます郷土愛の心に燃えて、守谷町のよりよい発展にお力添えをいただければ幸いと思います。
 最後に今回の上梓にあたり、町史編さん委員・執筆者・協力者各位の献身的なご労苦に対し厚く御礼を申し上げます。
 
  昭和六十年三月
                                 守谷町教育委員会教育長 椎名四郎