三、妙見信仰

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 妙見信仰とは、北極星(北辰)または北斗七星(北斗)を神格化したもので、中央アジアの砂漠地帯の遊牧民族や大陸海浜地区の漁労民族などの北極星に対する星神信仰が、中国に渡来し、道教や仏教と習合して成立しました。北極星は天の中央を定位として、全宇宙の諸星諸神を掌握し、その絶大なる霊力は、人間の星(運命)や九星気学上の星(方位)を司るとされています。
 当初、妙見信仰は豊穣信仰などの大衆信仰として浸透しましたが、やがて、北斗七星の第七星である破軍星から、千葉氏・相馬氏などの関東武士団は、妙見を「弓箭神(きゅうぜんしん)」(戦勝神)として崇め、さらには武神として源氏の八幡信仰と習合させていきました。熊本地方の妙見社は「水神」と習合され、東北相馬地方では馬の守護神として崇められています。
 祭神は「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」、根本法典は「妙見神呪経(みょうけんしんじゅきょう)」、主な功徳は「海上安全」・「国土守護」・「風雨随時」・「穀米豊熟」・「厄除」・「長寿」などがあります。