将門と妙見説話

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 平将門と伯父平良兼が蚕飼川で合戦し、妙見菩薩が示現して、将門の危機を救ったとする千葉氏の妙見説話ですが、将門に味方したのが、『将門記』には登場しない良文とされ、以降、慢心した将門に替り、妙見は良文の許へ移ったとされます。合戦場所も、蚕飼川(小貝川)から上野国染谷川(高崎市、花園妙見堂近くの川)へ移っています。
 各史料を一覧表に纏めました。
史料名味方敵方合戦場所出典
千葉『源平闘諍録』良文良兼蚕飼川鎌倉時代末期、千葉氏関係者の製作
『千学集抜粋』良文国香染谷川室町時代中期、現千葉神社で製作
『紙本著色千葉妙見大縁起絵巻』良文国香染谷川千葉市の栄福寺蔵
『下総国千葉郷妙見寺大縁起絵巻』良文国香染谷川相馬市の歓喜寺蔵
相馬『相馬当家系図』国香蚕飼川取手市の広瀬晋一氏蔵
『禅福寺縁起』良兼蚕飼川つくばみらい市の禅福寺蔵

※『源平闘諍録』は『将門記』に書かれていることを、忠実に記していますが、良文は将門の味方として、妙見を取り込んでいます。千葉氏と相馬氏の妙見信仰の取り組み方に少し違いがあります。