[序文]

刊行によせて

 守谷八坂神社の祇園祭調査は、市指定文化財の指定に関する審議での判断資料とするため、実施したものです。調査を依頼した茨城県民俗学会理事の近江礼子先生は、昼夜をいとわず熱心に調査をされ、時間が限られていたにも関わらず、素晴らしい報告書を書き上げてくださいました。おかげ様で、平成27年12月22日付けで、無形民俗文化財に指定することができました。近江先生には、改めてお礼を申し上げます。

 近年、少子高齢化や生活様式の変化などの影響から、全国各地で伝統的な祭や行事が休止に追い込まれるケースが増加しています。祭が途絶えてしまうと、それまで伝えられてきた知恵や技術が失われ、長年培われてきた地域の連帯感まで喪失する結果となってしまいます。これは祭の存続が、単に神社や氏子の問題に留まらず、まち全体のポテンシャルに関わる問題であることを示唆しています。

 さて本書を読みますと、八坂神社祇園祭が時代とともに緩やかに変化しながらも、氏子の方々の伝統を守ろうとする気概と、祭にかける熱い思いは変わらずにいることが、ひしひしと伝わってきます。現代社会において、伝統的な祭りを執行するにはさまざまな苦労や困難があります。本書が、祭りの継承に関わるすべての方々への、応援メッセージとしてご一読いただければ幸いです。

  平成28年12月

守谷市教育委員会
教育長 後藤光良