神輿1台・山車5台、見物客約5万人と今でこそ賑いを見せる八坂神社の祇園祭であるが、TXによる守谷駅周辺の開発により、平成9年には1,300戸余あった氏子が現在の約950戸と減ってしまった。特に新町・栄町・海老原町・土塔三町は、区画整理により地区外に転居を余儀なくされた家が多く、約690戸の氏子が約400戸と減少した。中でも海老原町は消滅し山車が出せなくなり、山車も仲下町・上町・土塔新山の3台だけとなった時期があった。氏子数の減少により祭礼も縮小され、神輿の担ぎ手がなかなか見付からず、祭の担い手が少なくなった町もあった。そして、神輿渡御のコースも道路事情により毎年変わり、昨年(平成26年)漸く確定した。
近年、核家族や都市化により、各地で祭が簡略化され、神社役員だけで祭をする地域も出て来ている。しかし、祇園祭を担う旧守谷地区では開発の負の影響を乗り越え、年々祭が盛んとなっている。開発が落着き地元に戻った人々や新しく住民となった人々が祭に加わり、誇りを持ち楽しく祭に取り組んでいる。地域コミュニティーが壊されたからこそ、地域の新たな絆を大切にしていこうとする強い気概が伝わる。坂町新町の山車巡行が始まり、海老原町の山車が復帰し、以前よりも盛大な祇園祭となった。開発の影響を直接受けなかった旧守谷地区の人々もこの新しい絆を大歓迎し、相俟って更に誇りを持ち積極的・情熱的に祭を担っている。