幟竿建て
朝8時あるいは8時半頃から各町で幟竿建てが行なわれた。栄町29の他はどの町も全員参加で人力で幟竿建てをする。まず一対の幟立を建てるため有志が毎年決まった場所に1m四方、深さ1mから1.3mの穴を掘る。その間に他の人は幟竿格納場所から幟竿と幟立を運び、竿に揚げ下げの綱を通す直径約20cmの籐の輪を約10個通す。次に竿の先端に長さ3m程の繋棒を付け、繋棒に横2mほどの横木(簪[かんざし])を通す。大幟を上げ下ろし、または四方に支線を張るための綱を繋棒の横木や竿に付ける。一方、繋棒の先に竹の弓を付けるため、長さ3~4mの竹の先端に藁で作ったズル箒を付け、元になる部分には榊と紙垂を麻紐で結わえる。竹を繋棒の先に入れてズル箒の根元を引っ張り、横木の先端に結び悪魔を射る弓のように張る。長さ3m位の左右一対の幟立を組み立てて穴に垂直に建て、砂を埋め、支えとなる雲形1本を幟立の上部に挿す。幟立の真ん中に竿の根元を置き、竿と幟立を貫く心棒を挿す。竿の反対側の綱を少しずつ引っ張り、餅搗き臼や梯子を使って、皆で垂直になるまで持ち上げ、反対側の雲形を挿し込み固定する。途中でクサビを数本入れる地区もある。
弓の先に付ける藁をどの地区でもズル箒といい、悪魔・災難を箒のように掃き出すためとされる。また、幟立の彫物や雲形は八坂神社の方向に向けて建てるきまりがある。どの地区も、指揮を執る人・穴を掘る人・幟竿や幟立を拭く人・臼や梯子を持つ人・藁や榊を用意する人・ズル箒を作る人・紙垂を切る人等と、各人の分担が適材適所で自然と決まっている。幟立には左右上下等を間違えないように「北」「南」「上」「下」等と書かれている。
提灯の飾付
幟竿建てが終わり次第、神輿が通る道路には各町により水色・黄色・ピンク・緑等の「御祭礼 上町氏子中」等のやや長い高張提灯が下がる。また、多くの家々の門口や玄関には丸い祭提灯「御祭礼」が1灯か2灯下がる。21日の夜からはいずれも明かりが灯り、祭の雰囲気となる。