◎は現用の幟、○は古い幟
1 仲町(斎藤家)
◎幟「印 斎祀素戔嗚尊 昭和五十五歳七月吉日 東都龍皐久世1邦楽敬書印印 仲町氏子中」。
・関防印[かんぼういん]2=朱文瓢形印「巻益」。落款は朱に白文方印「君昌」と朱文方印「龍皐」。
・大きさ=縦1050cm、幅135cm。
・幟立=高さ335cm。雲形2本。
・幟竿=1161cm。
※平成27年7月21日に幟が破れ、川崎呉服店ですぐ補修。
○古幟「印 斎祀素戔嗚尊 嘉永二己酉歳六月吉辰 東都龍皐久世邦楽敬書印印 斉藤徳左衛門 平尾丈助 斉藤藤兵衛 相良弥市」。
・嘉永二年=1849年、守谷最古の幟。縦4枚剥ぎ。刺子・継ぎ接ぎ、多数あり。
・関防印・落款は現幟と同じ。
・大きさ=縦965cm、横130cm。縦のチチ(耳)25、横のチチ5、右上角のチチは縦横2枚合わせ。
※大正期、仲町には斉藤家の他に野口家(下新田の旧幟)・田中家(栄町の旧幟)と幟が三本建った。
2 下町(守谷郵便局横)
◎幟「印 祇園御祭礼 平成十四年七月吉日 下町氏子中」。
・関防印=朱に白文長方印「開巻有益」。落款なし。
・大きさ=縦1100cm、横100cm。
・幟立=雲形2本、彫刻は流水に亀。
・彫物=下町集会所の物置で発見。縦38cm、横57cm、厚さ9・5cm。木瓜形内に鎧を着た老翁媼に猿が宝珠(桃か)を献上する場面。背面に「右明治三拾壱年 第四月吉日 左大和田菊次」と刻銘、赤色で彩色。
・幟竿=1280cm。
3 下新田(栗原酒店北側空地)
◎幟「祇園御祭社 平成十六年七月 下新田氏子中 印」。
・商標=朱文長方印「光月堂謹製」。関防印・落款なし。
・大きさ=縦1020cm、横120cm。
・彫物=唐破風屋根、破風に「丸に酢漿草文」(野口家家紋)と松に鷲。木瓜形内に素戔嗚尊の八岐大蛇退治(尊の足元に龍、左右に従者各一名)。オロチの眼は金と黒、舌は赤色の彩色残存。左に刻銘「北方 後藤彫印」。背面に刻銘「右明治三十一年戊戌五月吉辰 左野口常蔵新調之」。2本の雲形外側には流水に亀の彫刻、内側にはアヤメの彫刻。彫物全体の高さ72cm、横幅87・5cm。木瓜の幅57cm、高さ39・5cm、厚さ9cm。
・幟立=縦300cm、幅35cm、奥行17cm。雲形2本。
・幟竿=1230cm。
※昔、仲町の植田屋(野口家)から一式預かったものである。
4 城内(下村家)
◎幟「斎祀素戔嗚尊 平成九年六月吉日 城内氏子中 印印」。
・商標=朱に白文重郭印「愛宕小川」と朱文方印「京染謹染」。関防印・落款なし。
・彫物=切妻銅板屋根、破風に菊花と流水文の彫刻。木瓜形内に「楠木正成正行父子、桜井の訣別」の彫物。左下部に刻銘「北方 後藤作」。唇に朱の彩色残存。裏に墨書「渡来要助 渡来よね 渡来玉吉 下村周太郎 中山市良兵エ 菅谷直吉 佐久間房次 小林庄造 吉川兼吉 外川佐兵衛 地引留吉 明治三十二年新調 彫刻師 北方後藤」。
・幟立=雲形2本。
・幟竿=1320cm。弓の全長=352cm。総全長=約1600cm。
○古幟「祇園御祭礼 昭和三十二年六月吉日 城内氏子中 印印」。
・商標は現幟に同じ。関防印、落款なし。
・縦2枚剥ぎ。
・大きさ=縦1140cm、横145cm、全幟の中で最大の大きさ。
5 坂町(菅谷家)
◎幟「印 斎祀素戔嗚尊 明治三十丁酉歳六月吉辰 東都龍皐久世邦楽敬書印印 昭和四拾年六月再調 氏子中」。
・関防印=朱文瓢形印「巻益」。落款は朱に白文方印「君昌」と朱文方印「龍皐」。
・大きさ=縦1050cm、横135cm。
・彫物=木瓜形内に「松樹の下に官服姿の騎馬軍人二名」の彫物、主題不明。縦37cm、幅55cm。
・幟竿=1245cm。
・幟立=雲形2本。
・彫物の箱裏にマジック書「明治三十年六月 奉納者 菅谷藤四郎 広瀬三左エ門 中村茂平 相良所左エ門 根本安左エ門」。
6 坂町(下村家)
◎幟「印 瑞雲輝神徳 明治十六年六月中浣 秋場祐3拝題印印 平成十七年六月再調 氏子中」。
・関防印=朱文方印「鎮座」。落款は朱に白文方印「祐印」と朱文方印「元吉」。
・幟立=雲形2本。
・平成27年7月25日に幟破れる。
7 坂町(中村家)
◎幟「印 斎祀素戔嗚尊 明治三十丁酉歳六月吉辰 東都龍皐久世邦楽敬書印印 平成十一年七月吉日再調 印 氏子中」。
・関防印=朱文瓢形印「巻益」。落款は朱に白文方印「君昌」と朱文方印「龍皐」。右下に商標、朱に白文方印「柏屋製」。
・彫物=宝珠と牡丹を銜える丸彫獅子半身像。宝珠に「明治三十 北方後藤彫」。
・幟立=雲形2本。
・獅子の旧箱蓋に墨書「一金七円七拾銭 棒代…一同(金)伍円 獅子代…」「明治三拾丁酉歳六月吉辰」(「オ 墨書・その他資料報告」の九参照)。
○古幟(坂町新町の山車に使用)「印 斎祀素戔嗚尊 [明治 ] 東都龍皐久世邦楽敬書印印 昭和三十三年旧六月吉日再調 印 氏子中」。
・関防印、落款、商標は現幟と同じ。
8 坂町(中島家)
◎幟「祇園御祭礼 平成二十六年七月吉日再調 坂町氏子中 奉納百歳記念 飯島ちか」。
・関防印、落款なし。
・大きさ=縦1050cm、横140cm。
・幟立=雲形2本。
・幟竿=1250cm。
○古幟「祇園御祭礼 平成元年七月吉日再調 坂町氏子中」。
・関防印、落款なし。
・平成25年の祭礼時に破れ、翌年新調。
※古々幟=大正十四年旧六月作成の幟があったと伝わる。
9 新町(公園)
◎幟「瑞雲輝神徳[しんとく] 平成二十三年七月吉日新調 氏子中」。
・関防印・落款なし。
○古幟「瑞雲輝神徳 平成元年七月吉日新調 氏子中」。
・関防印・落款なし。
※昔は新町に幟が2本あったが、土塔地区に1本譲ったと伝わる。
10 栄町(明治神宮遥拝所)
◎幟「印 斎祀素戔嗚尊 東都龍皐久世邦楽敬書印印 平成二年十一月吉日新調 印 氏子中」。
・関防印は朱文瓢形印「巻益」。落款は朱に白文方印「君昌」と朱文方印「龍皐」。右下の商標は朱に白文方印「柏屋製」。
・大きさ=縦1160cm、横140cm。
・幟竿=平成2年11月に白アリに食われ、同18年頃新調。平成26年より重機を使って幟建てを行なう。
・幟立=石造2本「平成十八年十一月三日」。
※昭和30年代には道路の両端に竹を建て、注連縄を張った。
※昭和40年前後には、仲町の田中屋(近江商人)の幟を借りて揚げた。
※彫物=田中屋に幟立の丸彫獅子半身像が保管されている。縦34cm、幅37cm、奥行46・5cmと上町や坂町の獅子像より一回り大きく、幟立を挿むように取り付ける。
11 土塔新山(守谷駅前)
◎幟「神璽[しんじ]輝神徳[しんとく] 平成二十三年七月吉日再調 土塔新山氏子中」。
・関防印・落款なし。
・大きさ=縦1020cm、幅136cm。
・竿=長さ1350cm。「平成七年十二月 土塔新山氏子中」「奉納 染井和夫」。
・幟立=雲形2本。墨書「平成十四年七月吉日新調 土塔新山氏子中」。
○古幟「神璽輝神徳 平成元年七月吉日新調 土塔新山氏子中」。
・関防印・落款なし。
○古々幟=上町から譲ってもらったと伝わる。
12 上塔新山(つくばエクスプレス線路東脇の畑)
○幟「神璽輝神徳 平成拾五年七月吉日 土塔新山氏子中」。
・関防印・落款なし。
・大きさ=縦1020cm、横136cm。
・幟立=雲形2本。
○古幟=新町から譲ってもらったと伝わる。
13 上町(上町公園)
◎「印 瑞雲輝神徳 大正十五年六月中浣 秋場祐拝題時齢六十有九印印 平成二十三年六月吉日再々調 氏子中」。
・関防印=朱文方印「鎮座」。落款は朱に白文方印「祐印」と朱文方印「元吉」。
・大きさ=縦1050cm、横105cm。
・彫物=彫刻一対。「素戔鳴尊八岐大蛇退治」とその背後に「奇稲田姫命4」、反対側に雲龍の彫刻。朱彩色残存。雲形2本。彫刻「素戔嗚尊八岐大蛇退治」は八坂神社所蔵の慶応2年絵馬に類似。
・幟竿=長さ1225cm。
○古幟「印 瑞雲輝神徳 大正十五年六月中浣 秋場祐拝題時齢六十有九印印 昭和四十八年旧六月吉日再調 氏子中」。
・関防印、落款は現幟と同じ。
○古々幟「印 瑞雲輝神徳 大正十五年六月中浣 秋場祐拝題時齢六十有九印印 下村政吉 関熊太郎 岡田由蔵 木村由太郎 各拝奉献 印」。
・関防印、落款は現幟と同じ。商標は朱文長方印「新町山崎製」。
14 上町(下村医院)
◎幟「印 鎮守素戔嗚尊 明治十一秊六月 桂園秋場祐拝書印印 平成二十二年二月再々調 氏子中」。
・関防印=朱文方印「誠祀」。落款は朱に白文方印「祐印」と朱方印「元吉」。
・彫物=丸彫獅子半身像。口の周囲に赤色残存。
○古幟「印 鎮守素戔嗚尊 明治十一秊六月 桂園秋場祐拝書印印 昭和四十年六月再調 印 氏子中」。
・商標=朱文方印「□染柏屋」。関防印、落款は現幟と同じ。
15 上町(森谷家)
◎幟「印 鎮守素戔嗚尊 明治十一年六月 桂園秋場祐拝書印印 平成二十六年二月再調 印 上町氏子中」。
・関防印=朱文方印「誠祀」。落款は朱に白文方印「祐印」と朱文方印「元吉」、右下の商標は朱文長方印「小川京染」。
・大きさ=縦1009cm×136cm。
・彫物=丸彫獅子半身像。口の周囲に赤色残存。
・幟立=二基に段差。
・平成26年に25万円位で新調。1戸当り2万円余を集めた。
○古幟「印 鎮守素戔嗚尊 明治十一秊六月 桂園秋場祐拝書印印 昭和四十三年六月再調 印印 上町氏子中」。
・関防印=朱文方印「誠祀」。落款は朱に白文方印「祐印」と朱方印「元吉」、商標は朱文方印「愛宕小川」と「京染謹染」。
16 上町(飯塚家)
◎幟「印 鎮守素戔嗚尊 明治十一秊六月 桂園秋場祐拝書印印 平成二十一年七月再調 上町氏子中」。
・関防印=朱文方印「誠祀」。落款は朱に白文方印「祐印」と朱文方印「元吉」。
・大きさ=縦1050cm、横130cm。
・彫物=赤い舌を出した丸彫獅子半身像。口や舌に赤色が残存。
・幟竿の長さ=1260cm。
・幟立=二基に段差。
○古幟「印 鎮守素戔嗚尊 明治十一秊六月 桂園秋場祐拝書印印 昭和三十七[ ] 上町氏子中」。
・関防印、落款は現幟に同じ。
・下部は昭和37年に補修。
17 上町(平尾家)
◎幟「印 斎祀素戔嗚尊 大正四乙卯歳六月吉辰 東都龍皐久世邦楽敬書印印 平成二十三年七月再調 氏子中」。
・関防印=朱文瓢形印「巻益」。落款は朱に白文方印「君昌」と朱文方印「龍皐」。
・大きさ=縦1100cm、横134cm。
・幟立=二基に段差。雲形一本。
○古幟「印 斎祀素戔嗚尊 大正四乙卯歳六月吉辰 東都龍皐久世邦楽敬書印印 昭和四十年六月[ ] 氏子中」。
・関防印、落款は現幟に同じ。
18・19 八坂神社
◎幟一対「奉納 守谷総鎮守 八坂神社 平成二十六年七月吉日 氏子中」。左右同じ。
1 久世龍皐=生没年不詳。江戸小日向大日坂(文京区)に住む書家。名は龍温、邦、数馬。字は君昌、龍皐は号(『文京区史』2(文京区役所 1981)792頁。『近世人名録集成』2(勉誠社 1976)101・145・200・322頁)。
2 書画などの右肩に押す長方形の印。引首印。
3 秋場祐=1813・1・28~1895・5・14。水海道村(常総市)出身の名主・儒者。名は祐、字は元吉、号は桂園、別号は天香、通称謙吉。土浦藩の儒者大野竹軒に学び、後に江戸に出て佐藤一斎、大窪詩仏に師事。秋場家は旗本日下家の代官を務めた。文久3年、旗本日下氏に従い上洛、尊王の志士と交わる。明治維新後は戸長、明治7年まで水海道大区長を務める。墓は常総市大楽寺。同市報国寺門前に「桂園秋場翁墓喝銘」がある(『幕末維新人名事典』(新人物往来社 1994)21頁。『日本人名大事典』1(平凡社 1979)35頁)。
4 くしなだひめのみこと=八岐大蛇に食べられるところを素戔嗚尊に助けられ、その妃となり、おおなむちのみことを産む。