この「もりやの自然誌」は、以下の目的で刊行したものである。
1.守谷町に存在する自然環境の解説
守谷町は、町内全域の調査を平成4年度より行い、自然環境の状況を明らかにしてきた。この調査は正式には平成9年度で終了しているが、以降も補足調査が随時行われている。本書はこれら調査の総集編と言える内容を含むが、図鑑的な記述は排除し、長期調査で解明し得た自然の特徴を解説した。
なお、守谷町の調査における大きな特徴は、町民参画の調査とナチュラリストの育成を企画し、ボランティアを公募したことである。これは広域の精密調査や分布調査などを可能とし、多くのボランティア調査員が育ち、その活動は現在も続いている。
2.守谷町の自然変化の歴史を、気候や社会の変化を背景に解説する
守谷町には極めて特徴ある地形が様々に存在していた。例えば利根川、小貝川の分離台地は遠い過去に海や川が刻んだ遺跡であり、また先人が近世に行ったものとしては、鬼怒川河道の掘削がある。
今回学識経験者ボランティアとして参加を頂いた磯部一洋氏より、これらの特徴ある地形に関する貴重な調査解析を頂いた。また一方では自然環境の変化を古地図や巨木の調査解析により追跡している。
3.守谷町での自然の楽しみ方や環境教育のためのマニュアル
これまで調査で得られた情報は、町で毎年開催されている自然観察講座や観察会などに広く利用して来た。本書では更に守谷町での自然の楽しみ方や、環境教育、環境保全のためのマニュアルとして役立つよう総合的に考慮し、特に親しみやすい「です、ます」を用いて解説した。
その内容は、野外活動を企画する際の手引きや、それに適した季節と地域の紹介であり、さらにフィールドマナーやフィールドガイドを付した。また、地域に適した図鑑をとの要望に答え、植物約200種のイラストと解説、各分野の観察法などを付している。これらの頁はコピーすれば指導用パンフレットになる様に配慮した。
また、昔からの年間行事暦、農事暦、地域農事技術、家庭での醸造、野遊びなどの紹介と解説を行った。これは社会構造の急激な変化により失われていく地方文化を故老にたずねたもので、更に現存野生植物を用いた湿生花園、公園や谷津、森林などの環境保全手法などは里山の自然保護へのマニュアルでもある。
子どもの自然離れが大きな社会問題となっているが、この現象は既に若い親たちにも広がっていると考える。本書では直接子どもを対象とする部分は多くせず、対象読者として過去に自然体験を持つ年配者を考慮した。そして子どもとの交流により自然体験が伝えられる際の一助となることを期待している。