年輪は樹木の履歴書である。成長の変化は環境の影響を蓄積している。気温・日照・水分・風・害虫などの関わりを記録している。天明三年(1783)の浅間山大噴火によって起こった異常気象の影響と見られる数年間に及ぶ年輪幅の大きな減少は顕著な例である。中央公民館展示のクロマツ標本にもそのような様子が見られる(写真1)。しかし、最近は樹木の成長へのストレスとして気象などのほかに新しい要素が加わってきた。街道沿いにある並木(守谷の松並木・日光の杉並木)は軒並みに衰えを見せている。これは道路の拡張や大型車の増加とその振動による断根・排気ガスなどの影響が考えられている。
立ち木の年輪を調べるのには成長錐(せいちょうすい)を使用する。成長錐とは先端に刃とスクリューがある円筒形の錐である。この錐を立ち木の中心に向けてねじ込むと、長さ300mm、直径4mmのサンプルを得ることができる。(写真2)このサンプルによって、年輪数を読んでグラフを作る。それより奥(つまり古い部分)はグラフの傾向によって樹齢を推定する。
今回の年輪調査は松並木と森林公園のマツ類・利根川河川敷のハンノキ・ヤナギ類を対象にした。その結果、河川敷や森林公園ではどの樹種も、そのグラフはほぼ直線的で順調な成長が見られた(図1)。それに比べて松並木の三種のマツ類はともに約三十年から六十年以前にかけてはグラフの傾きが大きく、成長の落ち込みが表れている。この成長不良の原因としては戦時中の松樹脂採取による樹幹の傷害、その後の自動車によるストレスの増加が考えられる。最近数十年はグラフがねてきて成長が順調になってきたのが読みとれる。これには国道294号の開通によって並木道の交通量が減少し、ストレス低下の好結果をもたらしたと考えられる。(図2)
図1:樹木の成長と年輪数
これは様々な樹木の幹を対象に、その樹皮から中心への一定の長さの間に、年輪の数がどの様に分布しているかを調べたものである。
グラフの傾きが大きければ年輪の厚さは薄く、その期間の成長が少なかったことを示している。
例えばマツに付いて見れば、松並木では森林公園に比べて成長が遅いことがわかる。試料は樹幹の胸高位置の南側と北側から1ケ所ずつ採取測定し、その平均値を使用した。
図2:マツ類の年輪数変動
森林公園のマツに著しい変動は見られないが、松並木のマツは樹皮下5~10cm付近での成長に著しい低下が見られた。
この原因としては、交通量の増大に伴う自動車排気などによるストレスが考えられる。
樹皮下1~4cmになると成長が回復したのは、国道294号の開通による通行量低下の影響が推測できる。
以上の調査は事例が少ないので、更に標本数を増やして正確な因果関係が究明されなければならない。