都市化が進むにつれて、かつての山林、耕地が次第に住宅地、商店街、工場用地、舗装道路に変貌していく。山林、耕地は地表面の浸透性が高く、降雨に際しても雨水のほとんどを地下に浸透させることができる。これに反し都市構造物は一部を除き、ほとんど浸透性がなく、雨水は排水溝を通じて河川に放出される。しかし短時間、多量の降雨は排水溝の処理能力を超え、いわゆる都市型水害を引き起こすことになる。そのため住宅団地や広い工場用地には、排水溝よりあふれた水を一時貯留する調整池が設けられている。
守谷町の住宅地では、みずき野の第一、第二調整池の他、けやき台や薬師台などに設けられている。また、守谷沼周辺にも住宅団地の造成に伴い建設が予定されている。工業用地ではアサヒビール工場の構内や、四季の里公園付近の工業団地などに見られる。
調整池は非常時に大きな容量を必要とするため広い面積を持つものが多い。そこで平常時には多目的広場としても利用できる。みずき野や、けやき台では運動場である。従って平常時には人の出入りも多く、常時水がある部分は事故防止に金網が張り巡らされている。これは人を遠ざけると同時に野犬などの侵入を防ぐ効果があり、その水辺は鳥類の越冬地や営巣地となることが多く見られる。
守谷町は利根川、鬼怒川、小貝川の三大河に囲まれているが、その何れも冬季は銃猟が行われ、水鳥が越冬できる水系はこれらの調整池のみに限られている。例えばみずき野第一調整池(約0.2ヘクタール)では、毎年カルガモを主とする水鳥の越冬地(えっとうち)となっており、その個体数は100羽を越えることもある。春秋には渡り途中の水鳥が羽根を休めていく。なお、周囲が閉鎖されていない第二調整池では水鳥の越冬は行われない。ガマやヨシなどの抽水植物が目立つアサヒビール工場背後の調整池では、主としてコガモの群れが毎年越冬し、夏にはバンやカワセミが繁殖している。なお工場正面の風致池ではこの様な現象は見られない。これは調整池がワイルドな空間であり、人などの接近が困難なためと考えられる。
これらの調整池で急に水鳥の姿が消えることがある。住宅地では隣接した運動場で行事がある日であり、工場では池の付近で工事が行われる期間である。けやき台の調整池は小さいため水鳥群の越冬はないが、周囲の湿地は植物や昆虫の観察に適している。
これまでの調整池は「土地利用効率を低下させる。人々に嫌悪感を抱かせる構造物である。水難事故を恐れ厳重管理されている。」などの良くない印象が持たれていた。しかし近年では調整池を修景用として捉え、更に身近な自然ゾーンとして生物保護と環境教育の場などに用いる例が多く見られる様になった。「調整池は街を魅力的にする宝石箱だが、現在は原石の状態」という意見も耳にする。
わが国の農村には古来より潅漑用に作られた「ため池」があり、生物の存在や地域の景観に大きく寄与して来たことは有名である。
守谷町の調整池も単に増水時の洪水を保留するに留まらず、現代の「ため池」として管理され機能することが望まれる。