昆虫の仲間は、種類数が多く、まだ分類・生態的にも情報不足の分野が多い。そのためか、昆虫全般についての分布調査は守谷町で今までに行われることはなかった。
そこで、まず、今回の自然調査会昆虫班の調査は、採集-標本づくり-同定という作業を通して昆虫相の基礎データを収集した。その結果をもとに守谷町の昆虫相の特徴を概観する。
・アカマツ林
マツ枯れの進行とともにまとまったマツ林が減少し、守谷町の初夏を告げるハルゼミの生息地が北園と森林公園に限定されてしまった。一方で、マツの枯れ木や朽ち木を食するウバタマムシやウバタマコメツキの姿が目立った。
・コナラ等夏緑樹を主とする雑木林と谷津田
こうした雑木林は各地区毎に見られるが、従来のような下草刈りなどの植生管理は行われなくなってきた。そのためか、ミヤマセセリのように早春、明るい雑木林内を飛び交うような昆虫の発生に影響を及ぼしている。ただ、どの地区でも雑木林(コナラなどを主とする落葉広葉樹林)を特徴づけるミドリシジミの仲間(ミズイロオナガシジミ、アカシジミ、オオミドリシジミ)の発生が認められた。特に、大柏地区の植生管理が行われているような雑木林では、植物種が豊富になるためか森林性の昆虫(オオトモエ、クロナガオサムシ、キノコムシ類など)が多く見られ、種類構成も豊富であった。
ただ、こうした昆虫相が豊かな守谷町の雑木林は、住宅地や道路などによって分断され、点在するといった状況になってきている。分散能力の低い昆虫にとっては、遺伝子の固定化とともに個体群の縮小化が進んでいる状況にある。
谷津田や湿地などと隣接している雑木林周辺では止水性のトンボ類やアカガネオサムシなどの湿地性の種が豊富である。ただ、「里山」を特徴付けるヘイケボタルの発生は危ぶまれる。発生を続けさせるためには何らかの人工的な保護対策が必要であろう。ゲンゴロウの仲間など水生昆虫相が単純化してきていることも気になる点である。
・鬼怒川や小貝川などの河川周辺
こうした地域では、ハグロトンボやコヤマトンボといった流水性のトンボを多く見ることができる。特に鬼怒川の周辺ではチョウトンボ、ホンサナエ、ナゴヤサナエを毎年見ることができることが大きな特徴といえる。ただ、カワラバッタ、ツマグロキチョウといった河川敷の草原を特徴付ける種が姿を消し、トノサマバッタなどの大型の草原性バッタが数多く見られるようになってきた。
・飛来種、帰化昆虫
南方系の種であるチャバネセセリやウラナミシジミ、ウスバキトンボなどは毎年夏から秋にかけて飛来してくる。また、近年ブタクサハムシ(仮称)といった帰化昆虫の姿も確認されている。守谷町の街路樹で毎年秋、大発生するアオマツムシも帰化昆虫である。これからも、守谷町の昆虫相はこうした飛来種や帰化昆虫によって、変貌する可能性を持っている。