5)ワシタカ目ワシタカ科(10種)

80 ~ 82

 ①オオタカ

 オオタカ(危急種)は年間見られ1996年以来毎年繁殖に成功している。長期調査の月旬毎の親鳥行動回数から営巣の各ステップを解析した(図1)。4月頃は交尾季節で盛んに活動しディスプレイフライトと呼ばれる飛翔が見られる。これを過ぎ抱卵期に入ると出現数は激減し雌に給餌する雄が時々見られるだけとなる。6月に入る頃卵は孵化し、巣に餌を運ぶ雄の活動が盛んになる。雛が生育すると給餌量も増え雌鳥も狩りに加わる。7月に入り幼鳥の巣立ちが始まると親鳥の姿は見られなくなる。このデータ解析により、巣に接近せずに営巣の各段階が把握できた。


図1 オオタカ営巣地における成鳥確認回数

 幼鳥の巣立ち時期に現地の短期間立ち入りを含む広域調査を実施し、営巣状況や巣立ち数などを確認している。秋から冬には他の猛禽類営巣地を含む営巣木の調査を実施する。

 なお、オオタカの営巣に関しては密猟者による幼鳥の盗難が極めて多い。その対策を考慮し、町ぐるみで犯罪の予防と摘発を行うことが必要である。


 ②サシバ

 夏鳥であるサシバは、毎年高野、野木崎、大木、立沢、奥山などで営巣を確認している。営巣が少なくなった近隣自治体に比べると大きな値である。営巣地の殆どは利根川河川敷や谷津に面した斜面林である。その中から4ケ所を選び1996年度の親鳥の行動を見てみた(図2)。オオタカと同様に交尾期、抱卵期、雛生育期、巣立ちの各ステップが読み取れる。何れも4月前半に飛来し、5月後半から6月前半に抱卵、7月末が巣立ちとなっている。奥山で4月と8月に成鳥の数が多く見られるのは、渡りの大きな中継地となるためと考えられる。なお、9月~10月のサシバに関しては、タカの渡り調査の項で述べる。


図2 サシバ営巣地における成鳥確認回数


 ③その他のワシタカ科鳥類

 秋の移動期にミサゴ(危急種)、ハチクマ(希少種)が通過し、ノスリ、チュウヒ(危急種)、ハイイロチュウヒなどが越冬する。特に1996年は冬鳥のチュウヒが年間見られている。越冬中のノスリ、チュウヒの確認回数をグラフ化し、越冬中の行動を解析した。ノスリ(図3)は、夏に山地で営巣した後、毎年9月頃河川敷に姿を見せる。1996年からは、毎年11月の銃猟解禁と共に安全な奥山へ移動し越冬している。


図3 ノスリ確認回数の年間変化(1986)

 チュウヒ(図4)は、営巣地の中国北部やロシアから飛来するタカである。草原性のため銃猟期にも奥山の様な森の多い所へ逃げられない。そこで対岸千葉側の銃猟禁止に指定された草原に去るものもあり、猟期の12月~2月は個体数が減少する。その他にツミ、ハイタカ(希少種)なども毎年見られるが繁殖は確認していない。


図4 チュウヒ確認回数の年間変化