「タカの渡り連携調査」

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 サシバは、日本で繁殖し秋に越冬地の東南アジアなどに渡るタカである。大群で渡ることが知られ、そのルートにあたる愛知県伊良湖岬などはよく知られている。しかし、関東を通過するルートは非常に不明な点が多く、茨城県では日本野鳥の会茨城支部の活動により筑波山以北は解明されたが、関東中央部、特に利根川を渡る地点などは全く不明であった。そこで守谷町自然調査会の発足を契機に、とりで鳥の会、菅生沼に親しむ会など多くの自然団体の協力を得て、毎年9月最後の週末にボランティアによる連携調査を行った。

 1993年、94年には、利根川の岩井市芽吹大橋から東村水郷大橋まで約60kmの利根川堤防に約3kmの間隔で17ケ所の観察点を設け、タカの渡りは守谷町西大木付近から取手市小堀の渡しまでの約十数km間を選択的に通過することを確認した(図8)。


図8 タカの渡り連携調査-利根川

 95年、96年には小貝川ポイント4ケ所を加え、岡堰を選択的に通過しており、菅生沼もルートであることを確認した(図9)。


図9 タカの渡り連携調査-小貝川

 97年には江戸川調査グループの観察点5ケ所が加わり、利根運河河口を通過することが確認された(図10)。


図10 タカの渡り連携調査-江戸川(1997)

 しかしこの時点で新たな疑問が生じた。通過した渡り数が江戸川流域と利根川流域とで大幅に異なり、11時までの確認合計は江戸川が利根川の約2倍、それ以降は逆転し約半数であった。この原因には、渡りを見逃した。調査地域外に未確認ルートがある。利根川・江戸川間にタカの停滞地がある。などが考えられるが、その解明は今後の課題である。5年間に使用した全ポイントを図11に示した。


図11 タカの渡り調査全ポイント配置図

 一方、渡りの時期と個体数などを知るため、通過が集中する守谷町下川岸、飯沼川河口、取手市野々井、小貝川岡堰などで9月初旬~10月初旬の長期調査を行った。その下川岸の記録を図12に示した。


図12 守谷町下川岸におけるタカの渡り日

 以上の調査により以下の事項が判明した。

 渡りのメインルートは、小貝川岡堰→利根川稲戸井遊水池→江戸川利根運河河口である(図13)。菅生沼も重要なルートである。


図13 タカの渡りルート図

 渡りのピークは、9月26日~10月3日の晴れて北風の吹く日である。これは上昇気流の発生と順風として理解できる。

 通常の渡りは午前中に限られ9~11時が最多である。しかし渡り時期が遅れて10月2日以降になった際には、9時前に約100羽の大きな渡りが生じた例を1998年以降に確認している(図14)。


図14 守谷町下川岸の渡り時間帯

 渡りの群れは1~3羽が最多で6~10羽がこれに続き16羽以上の群れは少ない(図15)。なお、筑波山付近の最大は約10羽、利根川では約30羽、江戸川では70羽の例がある。


図15 渡り群の規模(羽)

 最後に連日調査を続けられた多くの方たち。とりで鳥の会、菅生沼に親しむ会、江戸川タカの渡り調査会をはじめ日本野鳥の会茨城支部など多くの協力団体に厚く感謝する。なお守谷町教育委員会は調査結果を基に9月最後の週末にタカの渡り観察会を下川岸で毎年開催している。