利根川と鬼怒川に挟まれた低湿地で、人家は大木流作だけです。かつての氾濫原は大部分が水田となり定期的に麦との輪作が行われています。北側台地の境には斜面林が連なり清滝香取(滝下)神社の社寺林もあります。大木水門に通じる排水路は明治年間改修までの利根川旧河道で、背後の利根川堤防が一段低く見えるのは増水時に水を逃す溢流堤です。
コース:目的により様々で、例えば清滝神社から鬼怒川右岸堤防に沿い南下し、右に折れて保食(うけもち)神社→水田→台地斜面林下と一周します(A)。春のシギ・チドリ観察は水田地帯のみを一周し(B)、大木水門からは現地を一望にできます。
植物:清滝香取神社はスダジイが多く、北側にはカヤ・モミ・スギ・ヒノキ・サワラの針葉樹、西側はコナラ・ムクノキ・エノキ・ケヤキ・コブシ等の夏緑樹にシラカシ・アラカシの混じる林で、この地域には希なカラタチバナもあります。保食神社は高木のエノキ・ムクノキ・ケヤキ・スギなど湿地に強い樹種が目立ちます。水路の縁にはオギ・ヨシ・マコモが生育し、水中では近年少なくなった沈水植物の一つミズオオバコがあり、帰化植物のハゴロモモも見られます。畜産が行われている影響で帰化植物が多く、ケアリタソウ・ホソアオゲイトウ・アメリカクサネム・アメリカイヌホウズキなどや、飼料が逸出したネズミムギ・カモガヤなど24種の多くが確認されています。4月の堤防は一面にカラシナの花が満開です。
昆虫:用水路などの水路では、コシマゲンゴロウ・アメンボ・ミズカマキリなどの水生昆虫が多くみられますが、種類数は多くありません。水辺周辺では、オオイトトンボ・クロイトトンボ・アジアイトトンボといったイトトンボ類が草の間を飛び交う姿が見られます。その他のトンボ類は、ナツアカネ・ギンヤンマ・オオヤマトンボなど止水性のトンボ類が多いですが、ハグロトンボ・コヤマトンボなどの流水性のトンボも見ることができます。鬼怒川や利根川の河川敷では、キチョウ・ベニシジミ・ジンガサハムシなどの草原性の昆虫が生息しています。秋にはトノサマバッタ・ショウリョウバッタなどが飛び交い、水田が多いためかイナゴやイチモンジセセリの数も多く見られます。
鳥類:春の4月末から5月中旬は、水が入った水田をシギ・チドリの大群が北に通過します。ほとんどがムナグロで、キアシシギ・キョウジョシギ・チュウシャクシギなどが混じりハマシギ・ウズラシギ・セイタカシギも現れています。鬼怒川の浅瀬には春秋にコチドリ・イカルチドリ・イソシギ・タシギ等が見られ、利根川にの剣先(鬼怒川合流点)上流にある砂州には四季に応じサギ、カモ、シギ・チドリ、カモメ類、冬季にはタゲリの大群が現れます。葦原はホオジロ科など草原の鳥が多く、晩夏に営巣を終えたツバメの大群が乱舞します。溢流堤下の池と草原も鳥が多い所です。ワシタカは春夏サシバ・チョウゲンボウ、冬季は銃猟が行われ鳥も激減しますが、チュウヒ・オオタカ・ハヤブサ等が餌を求めて飛翔します。
社寺等:鬼怒川河道は江戸期の掘削で完成は寛永十年(1633)以降です。かつて西大木にあった集落は安全のため近年台地上に移転しました。保食(うけもち)神社は三保津姫命(みほつひめのみこと)を祭り応永四年(1397)の創建と伝えられ、隣接墓地には寛政(1789-1801)、文化(1804-18)、天保(1830-1844)の墓碑があります。大木流作は戦後中国から引き揚げた方達が入植されました。清滝・香取を合祀した社は江戸期のもので、昔あった滝にちなみ滝下神社とも呼ばれ、参道は渡船場があった川岸に面しています。
マナー:水田農道は直線で広く交通が多いのは北側の1本だけですが、滝下橋から滝下神社に至る道や堤防の道は細く車の交差が困難です。農作業等に迷惑をかけぬよう注意しましょう。特に農作業が多いのは田植時の連休です。河川敷は足場が悪く増水すると特に危険なので御注意下さい。冬季は広域で銃猟が行われています。