守谷町に残る最大の谷津です。愛宕中学校付近を源とし、2km北の小貝排水路(五間堀)に開口する緑の回廊です。主谷の辺縁部には幾つもの小谷が大きく鋸歯状に刻まれ、極めて変化の多い空間を形成しています。谷中央を流れる小川両岸の水田は休耕となり、ヨシを主とした湿生群落に変わり足を踏み入れるのも困難ですが、谷津とそれを囲む斜面林は、希少種を含む様々な生物の繁殖地となり、また、利根川と小貝川を結ぶ生物季節移動の好適なルートとなっています。生物保全地区として守谷町でも最大最良の場所と言えます。
コース:谷津を遡行する路はなく、台地上から谷を横断する道も郵便局北と守谷城址付近の2ケ所しかありません。また、生態系保護のため足を踏み入れるべきでない地域もあります。従ってこの地域は観察ルートとして歩行するよりも、何ケ所か観察点を設け周囲から定点観察を行うべきと考えます。観察地としては、愛宕中学校付近(A、B)、郵便局北側道路(C)、守谷城址南(D)、守谷城址上(E)が挙げられます(地図参照)。
植物:かつて植林されたマツは枯れ、クヌギ・コナラ・ハリギリ・イヌシデ・ヤマザクラ・ハリエンジュなどの夏緑樹が主となり、スギ・シラカシなどが混在しています。台地上の社寺林には胸高幹周3メートルのスダジイや、同じく2メートルのクヌギ、樹高28メートルのスギなどが見られます。林床には最近少なくなったヤマツツジをはじめ、カシワバハグマ・ヒトリシズカ・フタリシズカ・オオバノトンボソウ・シュンラン・ギンラン・ヤマユリ・チゴユリ・ヤマジノホトトギスなどがあります。
昆虫:守谷城址附近の湿地やその周辺の斜面林では、アオゴミムシやアオオサムシなどのゴミムシ類やオサムシ類を多く見ることができ、特に湿地では、県南地方では数少ないアカガネオサムシが生息しています。5月下旬から7月初旬にかけての夏緑樹林では、イボタを食樹とするウラゴマダラシジミ、コナラ・クヌギを食樹とするアカシジミ・ミズイロオナガシジミ・オオミドリシジミといったミドリシジミの仲間が樹間を飛び交う姿が見られます。秋になるとウラナミシジミ・チャバネセセリといった南方からの飛来種がやってきます。
鳥類:猛禽類ではオオタカ・ツミ・サシバ・フクロウなどがよく見られます。特に冬は利根川付近で銃猟が行われるため、それを逃れてオオタカ・ノスリなどが越冬します。また、春夏の繁殖期には、希少種のサンコウチョウ・ヒクイナをはじめカワセミなどが見られ、湿地ではコチドリなどのシギチドリ類が現れます。春秋には、センダイムシクイ・コサメビタキなどのヒタキ類の通過が多く、特に秋のタカの渡りの時期には、移動中のサシバが数多く羽根を休めて行きます。冬季の林はアカゲラ・アオゲラ・トラツグミ・シメ・マヒワなど数多くの鳥が越冬します。
社寺等:愛宕神社(F)は、天慶(てんぎょう)年間(938-946)に平将門が創建し、17世紀の初め土岐頼行の時代に再建したと伝えられます。薬師堂(G)には庚申塔、馬頭観音などの碑が多く、台地上の宅地造成地では縄文土器破片を採集しています。
マナー:この地域は特に希少種生物が多く見られます。また道路も特にありませんので、生態系保護と安全のためにも、内部には立ち入らないようにして下さい。