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 白い風とともに秋草が咲きはじめます。秋は実りの季節です。ドングリ拾いやヒッツキ虫での遊びも面白いでしょう。


9月 台地でのススキの穂が出ると、河原でもよく似たオギが穂を出し、ヨシも穂をなびかせます。その水辺ではヤナギタデ、サデクサ、シロバナサクラタデ、ミゾソバなどのタデの仲間やコナギ、ヨメナが群れ咲きます。野の道ではカゼクサやチカラシバが穂を立て、ヒガンバナが真っ赤に道端を染めます。明るい林にはアキノキリンソウ、ツリガネニンジン、ヤマジノホトトギス、ミズヒキなどが咲きます。

10月 秋本番です。木の実が熟す季節です。クヌギ、コナラ、シラカシなどのドングリが落ちます。カラスウリの実が赤く、エビヅルは黒紫に、ムラサキシキブも紫に熟します。またクサギは青く、ヤブコウジも赤くなり、アケビの実が裂けます。河原や荒れ地をセイタカアワダチソウが黄に埋める頃、オギが白銀の穂波をうたせます。ヤクシソウの黄、ノコンギクの紫が林の陰に見られます。キンモクセイが香り、サザンカやチャが咲き出します。

11月 里紅葉の季節です。エノキやムクノキは黄色に、ケヤキは黄から赤茶色に染まります。雑木林のコナラやクヌギは黄から茶色になり、ヌルデ、ヤマウルシ、ハゼノキは、黄・橙・赤と変化を見せます。草紅葉も捨てがたいものです。ヤマノイモとトコロの鮮やかな黄、チガヤのつづれ錦を思わせる色合い、ツタ紅葉は言うまでもないでしょう。マンリョウ、ナンテン、アオキ、シロダモの実が赤くなります。

 木枯らしが吹き、霜が何度か降りるともう冬です。


クヌギ(ブナ科)

 この地方の雑木林の二大主役はクヌギとコナラです。雑木林は農業経営には欠かせないもので、その落ち葉や枯れ枝を堆肥(たいひ)の材料や燃料としました。両種ともマツの薪(まき)や炭に比べ、堅薪(かたまき)・堅炭と呼び、火持ちがよく珍重されました。林は薪や炭の材料として、10~15年で伐採して、切り株からの萌芽(ほうが)を育てました。ともに初夏、雄花の細い房をたらし、小さな雌花はそのもとにつきます。

 クヌギの葉はクリに似ています。受粉した雌花は翌年に熟し、毛羽(けば)だったお椀(わん)に包まれた実は丸くドングリ(団栗)の代表です。


コナラ(ブナ科)

 コナラの葉は中ほどより先が幅広いのが特徴です。実は小指の頭ほどの細長いドングリで、お椀には細かな鱗片(りんぺん)がついています。


ケヤキ(ニレ科)

 ケヤキはわが国の夏緑樹(かりょくじゅ)の代表者でしょう。北海道や沖縄を除けば全国に生育して、扇(おうぎ)を開いたように枝々を広げた姿と美しい木目(もくめ)は建築材や家具材に重用されます。もとの生育地は山地の谷間ですが、台地でもよく生育して、屋敷林や鎮守(ちんじゅ)の森に見事な大木が見られます。また新緑・緑陰(りょくいん)・紅葉・冬木立と四季趣のある姿に、並木や盆栽(ぼんさい)に愛(め)でられます。


ムクノキ(ニレ科)

 ムクノキはケヤキに似ていますが、若い枝が弓なりに垂れ伸びる姿が特徴です。葉の表面が極めてざらつき、家具や木彫の磨(みが)きに使われています。実は紫黒色で径1cm位、かすかな甘みがあり、さとの実(砂糖の実?)と呼んで子供は口にしました。


エノキ(ニレ科)

 エノキは水辺や低地によく生育する夏緑樹(かりょくじゅ)です。細かに枝分かれし、折れ曲がった梢(こずえ)は特徴ある姿です。葉は元から3本の脈が走ります。秋の黄葉がきれいです。樹皮に横じわができるのも特徴です。実は赤茶色の球で径7㎜位です。かすかに甘く、子供は食べたり、竹鉄砲の玉にしました。エノキにはヤドリギがよくつくので、霊力のある木とされています。


イヌシデ(カバノキ科)

 イヌシデは雑木林の中によく生える夏緑樹です。樹皮に灰白色の縦縞(たてじま)が目立ちます。春に雄花の房がたくさん下がり、雌花がやがて翼を持った実の集まりとなって、神前の幣(ヘイ・しで)のように垂れます。ソネとも呼ばれています。


ガマズミ(スイカズラ科)

 ガマズミは雑木林の縁などに生える落葉の低木です。丸い手の平ほどの葉を向かいあってつけ、初夏に白い細かな花を枝々の先に半球状につけます。秋も深まると粒々とした実が次第に色づき、霜にあうと真っ赤になります。酸っぱさとかすかな甘みは、小鳥ばかりでなく子供たちにも喜ばれました。ヨソゾメ、シモフリなどとも呼ばれます。


ゴンズイ(ミツバウツギ科)

 ゴンズイも同じような所に生える落葉の低木ですが、より大きくなります。濃い緑の複葉を枝々の先に広げ、初夏、枝先に細かな黄緑色の花をつけます。秋に径1cmほどの薄赤い実をお神楽(かぐら)の鈴のようにつけ、熟すと割れて内面の真紅と艶(つゆ)のある黒い種子が目立ちます。オカグラ、アカンベイなどの方言もあります。


ツユクサ(ツユクサ科)

 ツユクサは夏から秋まで朝露もしとどな道端の草群や荒れ地に澄んだ青紫の花を点々と咲せます。花弁は青紫の2枚と小さな1枚、黄色なのは4個の飾り雄しべです。2本の雄しべと1本の雌しべが長く突出ています。花は一日花ですが、花の元につく緑の苞(ほう)を開くと、もう1~2個のつぼみが準備されています。うしろに立つ突起は雄花を落とした柄です。


ツルボ(ユリ科)

 ツルボは初秋に丈低い草原で淡紅の花穂を立てて群生します。花穂は6弁の小さな花の集りです。葉は春に一度でて、夏に枯れ、秋に再び伸びて花茎を立てます。墓地や堤防に多いのは、葉の消えた夏、盆会(ぼんえ)や梅雨前に草刈りが多く行われる為ではないかと思われます。


チジミザザ(イネ科)

 チジミザサは日陰の道端や林の中に茎を這(は)わせ、節々から根を出して群れます。立上がる茎は高さ10cmほど。葉は笹形で粗く皺(しわ)よります。縮(ちぢ)み笹です。秋に高さ20cm程の花茎を立て、数mmの芒(のぎ)をもった小穂を密につけた花穂をつけます。熟すと芒から粘る露を出し、衣服や獣について実を散布します。


コブナグサ(イネ科)

 コブナグサは日当りのよい田の畦や小川の縁に群れます。草丈20~30cm、茎はもとが折れ傾き、節々から根を出します。秋に小さなススキ形で紫を帯びた穂を出します。葉が幅広の笹形でもとが茎を抱く姿を小鮒(こぶな)に見立てた名です。別名カリヤス(同名異種あり)と言い、八丈島では八丈絹(黄八丈)の黄色染料にします。


エノコログサ(イネ科)


アキノエノコログサ(イネ科)


キンエノコロ(イネ科)

 猫じゃらしの仲間です。エノコログサは野道や荒地に生える草丈40~70cmのイネ形の一年草です。秋に花茎を立て、頂に5~10cmの穂を少したわめてつけます。小さな花のもとに数本の剛毛があるので、穂全体が毛虫のように見えます。この穂をゆらして猫をじゃらします。また、穂を逆に握(にぎ)り、軽い握りをくり返すと穂が次第に上にのぼります。アワはこの種の改良によると言われます。近年は次の種に押されて少なくなっています。アキノエノコログサは前の種よりやや大形で花期も9~10月です。とくに実の籾殻(もみがら)に当たる二枚の長さに差があるのが特徴です。キンエノコロは草丈20~50cmで穂が直立し、剛毛が黄褐(かっ)色で堤防に群生する姿は美しいです。


イヌタデ(タデ科)


ヤナギタデ(タデ科)

 ままごとの主役は赤まんま(赤飯)のイヌタデでしょう。野道の端にも、畑の隅(すみ)にも赤い実をつけた穂を立てて群れ生えます。タデの仲間は花弁がなく、赤い花穂は花後も残った萼(がく)に包まれた実の集りです。「タデ食う虫も好き好き」の諺は、水辺に細い花穂を垂らし、草丈50~60cmのヤナギタデで、葉を噛(か)むととても辛いからです。古くから栽培されて、芽たでとして刺身に添えられ、鮎の塩焼きにはたで酢がよく合います。


ミズヒキ(タデ科)

 ミズヒキは秋に庭隅や林の陰で20~30cmの鞭のような花穂に赤い実を点々とつけます。花穂は裏から見ると色淡く、紅白の水引きなのでしょう。実の先端の鉤(かぎ)はめしべの先です。時に葉の表面に黒い斑紋(はんもん)を生じます。


ミゾソバ(タデ科)

 ミゾソバは草丈30~50cm、秋、細い水路の縁や休耕田の畦ぎわに金平糖(こんぺいとう)のような花をつけて群生します。茎には下向きの細かな棘(とげ)が生えています。葉が両耳を張った三角形で、その形から「牛のひたい」の別名があります。実はがくに包まれ三稜(りょう)があってソバに似る所から溝に生えるソバの意味です。


ミゾサデクサ(タデ科)

 ミゾサデクサ(サデクサ)は湿地に群れ生えます。草丈1m近くにもなる細長い茎には葉の柄とともに鋭い逆向きの棘が並び、他の草にまつわりつきながら立っています。葉は両耳が強く張り、ミゾソバに比べて細く、金平糖形の赤い花の集りも小さいです。サデは擦(さす)ることで、この茎葉で擦るとひどく痛いことからの名です。


オモダカ(オモダカ科)

 白いオモダカの3弁の花が水辺に立つ姿は残暑も忘れるほどです。30~50cmの柄の先につく矢尻形の葉を人の顔に見立てて面高(おもだか)とのことです。花茎は40~60cmで数段に花を付けます。上の方が雄花、下の方が雌花です。雌花はやがて細かな実を半球形に集めつけます。秋に根元から白い紐(ひも)状の地下茎を伸ばし、その先端に小さな球茎を付けます。強い水田雑草です。クワイはこの球茎が大きくなる変種です。


コナギ(ミズアオイ科)

 コナギはオモダカと同じに水をたたえた休耕田でよく見られます。濃い緑のハート形の葉で水の面を埋めています。その陰に鮮やかな青紫の花穂をのぞかせます。名はコナギより大形なミズアオイ(ナギ)に似て小形なことによります。


イシミカワ(タデ科)


ママコノシリヌグイ(タデ科)

 秋の湿地で丸い皿形の苞葉(ほうよう)の上にルリ色の丸い実を数個から十数個つけているのはイシミカワです。名前の意味は不明です。実の美しさに手を伸ばすと、茎や葉の柄にある逆棘で痛い目にあいます。ママコノシリヌグイもよく似た形で、同じように逆棘が生えているので「継子の尻拭(ままこのしりぬぐ)い」です。何とも人権無視な命名です。イシミカワの花は白緑色の短い穂状で目立ちませんが、ママコは先が赤い小花を金平糖形(こんぺいとうがた)につけます。また共に三角形の葉ですが、イシミカワの葉の柄は縁から少し中につき、ママコは縁についています。茎に逆棘を生やして、周りの草によりかかって伸びるタデの仲間にそのほかウナギツカミ・ヤノネグサ・ミゾサデクサなどがあります。


ガマ・ヒメガマ・コガマ(ガマ科)

 沼や休耕田の水辺に草丈1~2mで茶褐色のソーセージのような穂を立てている草はガマの仲間です。長い葉の幅が2cmもあるのはガマで、花穂は20cmにもなり、下部の円柱形の部分が雌花の集り、上部の黄色の部分が雄花群です。その花粉は止血の効があります。大国主命(おおくにぬしのみこと)も用いたのでしょう。雌花群は秋冬、綿毛をつけた無数の実を飛ばします。

 ヒメガマとコガマの葉は幅1cm位でゆるくねじれています。ヒメガマの花穂は雄花群と雌花群の間があいて軸が見え、コガマは接続しています。

 昔、ウナギは胴切りにして、竹串に刺して焼いたので蒲穂(かばほ)に似た形から蒲焼(かばやき)です。また、蒲(かば)の葉を編んだ円座から現在の蒲団(ふとん)になったと言われます。


ススキ(イネ科)

 ススキは乾いた草原の、オギ・ヨシは水辺・湿地の秋を飾る代表でしょう。ススキは赤土の台地が削られると、真先に生えて大きな群落をつくります。根元から次々に芽をだして大きな株になります。冬に地上部は枯れても硬い茎葉はそのまま残ります。小さな花は芒(のぎ)があります。


オギ(イネ科)

 ススキによく似たオギは河原の草原に生えます。小さな花には芒がなく、白い毛が長いので穂全体が白銀色になります。また、ススキと異なり枝分れし、冬に地上部が枯れると下の方の葉が落ちて、稈(かん)=(茎)が現れます。長く地下茎を引き、株にならずに稈が一本ずつ立つのも異なります。


ヨシ(イネ科)

 ヨシは丈が3mにもなり、長さ30~40cmの葉を互い違いにつけます。穂は大きく紫褐色です。


カモジグサ(イネ科)


ノガリヤス(イネ科)

 カモジは日本髪のヘヤーピースです。カモジグサは冬から早春にかけてイネ形の葉を地に伏して群がります。子供達はこの葉をもんで草人形の髪にしました。初夏に20~30cmの花茎をのばし15cm位で緑紫色の穂を弓なりに垂らします。少し遅れて盛夏から初秋にかけて穂を垂らすアオカモジグサは前種に比べてやや大形で、紫色を帯びません。なお、イネの籾殻にあたる2枚に長短があることも前種と異なるところです。ノガリヤスは明るい林や草地に生え、草丈80~100cmで初秋に穂を立てます。晩秋、葉が落ちて明るくなった林の中で白い穂が目立ちます。ノガリヤスは黄色染料となるススキに似たカリヤスと異なり、染料とならないので野刈安とよばれます。


チカラシバ(イネ科)


カゼクサ(イネ科)

 草原や学校帰りの野道で丈夫なイネ形の草を左右からしばって友達がころぶのを面白がったことがあるでしょう。この草はおおかたチカラシバかカゼクサです。チカラシバは草丈50~60cmで多くの茎を立て、大変丈夫な株で抜くのに力がいるのでこの名があります。秋、茎の頂に試験管を洗うブラシのような穂を立てます。穂は沢山の小穂(しょうすい)の集りで小穂のもとから黒紫色の剛毛が生えて、穂全体が黒紫に見えます。カゼクサも茎や葉はチカラシバに似て草丈50~60cm、群がった株をつくります。秋に立てる穂は暗紫色の小穂をたくさんつけて、少しの風にもよくそよぐのでこの名があります。小穂はさらに小さな花が数個集まってできています。両種とも道芝(みちしば)と呼ばれます。


キクイモ(キク科)

 キクイモは路肩や荒れ地に背丈を遙かに越えて、黄色のキク花を高々とあげます。北米原産で幕末に渡来して、戦時中は地下にできるサトイモ形のイモを牛馬の飼料にするため栽培を奨励しました。また含まれるイヌリンから果糖やアルコールを製しました。しかしこの地方にキクイモは少ないようです。代わりに白い紐状に伸びる地下茎の先に、大形のチョロギ状の塊茎(かいけい)がつくイヌキクイモが普通に見られます。


ヤハズソウ(マメ科)

 ヤハズソウはわだちの間や荒れ地、さらに砂礫の河原にも一面に生える小形で茎の堅いマメ科植物です。葉脈が整然と並び、葉を脈に沿ってちぎると矢筈(やはず)形に切れるので「矢筈草」です。また和鋏(はさみ)に見立てて、「鋏草」とも言われます。花はかわいいピンクです。


紫色の野菊たち ヨメナ・ユウガギク(キク科)

 この地方で紫色の花をつける野生のキクは、ヨメナ・ユウガギク・ノコンギクの3種でしょう。ヨメナは紫色の弁(舌状花群)に、黄色の芯(管状花群)の花をつけて、田の畦や少し湿り気のある草地に生えます。葉は切れ込み浅く、ざらつきません。この地方の種類は関西地方のと多少異なって、カントウヨメナと言われます。

 ユウガギクはヨメナに似ていますが、堤防などのやや乾いた草地に生えます。直立した茎の上の方で、よく枝分かれして葉が深く切れ込みます。舌状の花はヨメナより細かく、白か淡い青色です。この2種は冠毛がなく、葉がざらつかないのでノコンギクと区別できます。

 ノコンギクの舌状花は青紫が濃く、冠毛があり、葉がざらつきます。


リンドウ(リンドウ科)

 霜が何度か来て、コナラの林を通して、痩せた小貝川の流れが光っています。林の中ではノガリヤスが白い穂をゆらし、リンドウが深く傾いた茎の先に、青紫の花を2個3個と顔を上げたようにつけています。茶をおびたつぼみは軽くねじれ、日が当たると開き、鐘形の先が5裂した裂片の間に小さな複裂片がついているのが特徴です。根は太く、健胃剤となって、竜の胆(たん)ほど苦いと「竜胆」と記されリンドウと読みます。切り花になるリンドウは北国や高地の湿原に生えるエゾリンドウです。


フデリンドウ(リンドウ科)

 春、日当たりの良い草地に小さなリンドウが、頂に3~5個の花をつけています。晴れるとよく開きますが、曇ると閉じてその形が筆の穂先に似るところからフデリンドウです。


クズ(マメ科)

 林の縁や斜面を覆ってクズが伸び繁ります。時に長い柄の先の三小葉が風に白く裏を返します。つるは長くもとは木化して、時に腕ほどにも太くなります。初秋、葉のもとから10~15cm位の赤紫色の花穂を立て、甘い香りを放ちます。根は太い棍棒状(こんぼうじょう)で、このデンプンが本当の葛粉(くずこ)です。わが国ではクズは厄介物扱(やっかいものあつか)いですが、米国にもたらされて、土壌流出の防止や家畜の飼料になっています。


フジ(マメ科)

 フジは山野とくに河原や水辺の斜面に繁る木質のつる植物です。春、淡紫色の豆花を30~40cmの房に下げます。4~6対の小葉をつけた羽状の若葉は山菜になります。花後、10~15cmにもなる豆果の果皮は固く、秋にはぜかえります。


アケビ(アケビ科)

 両種とも落葉のつる植物です。つるは木化し、太いものでは径2cmにもなります。アケビの葉は五枚の小葉が五指を開いたようにつけます。春、若葉とともに、赤紫の細かな花を房に垂れます。房のもとから三枚のがく片と棒状の雌しべ数本をつけた雌花数個を下げ、房の先の方にやや小形の雄花を多数つけます。


ミツバアケビ(アケビ科)

 ミツバアケビは三枚の小葉が広い卵形で縁に少数の刻み目があります。花はアケビに似てやや小さく濃い赤紫色です。実はともに厚い果皮(かひ)が割れ、白く甘い果肉(かにく)に包まれた黒い種子を多数含みます。また、木質のつるは籠などに編まれます。

 小葉がミツバアケビ形で五枚のものはアケビとの雑種でゴヨウアケビといいます。


ツルウメモドキ(ニシキギ科)

 ツルウメモドキは落葉する木質のつる植物です。時に元は腕よりも太くなり、梢までからみ登って、丸い葉を茂らせます。雌雄別株で初夏に小さな黄緑色の花を、葉のもとに数個ずつつけます。秋に大豆粒くらいの黄色の実がたくさんつきます。熟して黄色の皮が3つに割れると中から濃い橙色の種子が現れます。


サルトリイバラ(ユリ科)

 サルトリイバラも落葉する木質のつる性低木です。丸く手の平ほどもある葉のもとから2本の巻髭を出してからみ登ります。茎にはまばらに曲がった棘があります。雌雄別株で初夏にうす黄色の小さな花を球形につけます。花は6弁でユリの花によく似ています。晩秋真っ赤な実をつけ「和(わ)の山帰来(さんきらい)」とも呼ばれています。


ノブドウ(ブドウ科)

 両種とも落葉する木質のつる植物で、林の縁などに這(は)い登っています。

 ノブドウはブドウ科ですが巻髭(まきひげ)が各節毎に出ることや5個の花弁の先が合着していないことなどで、ブドウとは属を異にします。ノブドウの実は大きさも不揃いで形もゆがみ、白・緑・青と混じっています。その多くは寄生した虫による虫瘤(むしこぶ)で食べられません。


エビズル(ブドウ科)

 エビズルはブドウと同属で、巻髭は2節ついて1節休みます。また花の5弁の先が合着したまま落ちます。さらにノブドウの葉の裏は無毛ですが、エビズルでは薄茶の毛が密生してこの色を海老の色に見立てての名です。房なりに黒く熟す実は食べられます。


ツタ(ブドウ科)

 両種とも林の中で高い木の幹に這い登っていく「つる植物」です。緑色の植物は全て光を求めて伸びていきます。高い木に覆われた林の中で競争するのには高く太い幹が必要です。それには莫大な養分の蓄積が要ります。「つる植物」はそれを避けて、細い茎(つる)で這い登り高い木の梢に達して光を受けます。これも暗い林の中で生きる作戦の一つです。

 ツタは節から出た巻髭の吸盤(きゅうばん)で這(は)い登ります。巻髭は二節出て一節出ない癖があります。ツタの葉に似て鋸歯のない(若葉にはある)ツタウルシはかぶれ、要注意です。


キズタ(ウコギ科)

 キズタは常緑で冬蔦(ふゆづた)とも言います。つる茎から短い根を出して貼りつき登ります。