-農家の行事暦と農事暦-

208 ~ 210

 むかしはこうだったと古老が語るときの「昔」は、昭和30年以前になる。このころから文化も経済もすっかり変わってしまい、当時を語れる人も稀になってしまった。食料生産が一番求められた時代の農村、そこでは堆肥(たいひ)を作り薪(まき)を取り、かまどの灰も畑の肥料にするリサイクル型の自然な生活があった。神仏に豊作と家内安全を願い、祖先を敬い自然の恵に感謝する信仰の生活があった。今、飽食の時代、ガス・石油・電気に変わったエネルギー革命により農村生活の原型は失われてしまった。失われたものを取り戻すことはできないが、せめて記録として残して、新しい世代へ贈ることにした。

 以下の資料は守谷町板戸井地区の記録である。当地区在住の人々に協力を頂いた。


年中行事

 神仏に安全と豊作を願い、祖先をまつり、自然の恵に感謝する信仰のある生活である。

唐箕

 箕(み):つる植物で作った形の器具。唐箕はハンドルで4枚の羽根を回して風を送り、穀粒とゴミを分ける箱形の器具。

いすす(石臼)

 花崗岩でできた粉挽き器具。いしうすともいうが、いしうすとは餅つきなどに使う臼のこと。



農事暦

 広い耕地と山林に恵まれた総合農業の姿が見られる。ビニールハウスもない時代の自然農法の作業記録である。稲作・畑作は食料、山林は肥料・燃料を確保し、葉煙草・養蚕で現金収入を計った。


自家醸造

 塩は叺(かます)入りの粗塩(あらじお)を買い、そのまま甕(かめ)に乗せておきニガリをとって用いる。ニガリは豆腐の凝固剤などにする。原料の大豆・大麦・小麦は自家生産、麹(こうじ)は町の麹屋で求める家が多かった。醤油絞りは、道具がない家では、巡回してくる業者に頼んだ。醤油の絞り粕は豚の飼料にした。味噌用の香ばしい煮豆は醤油をかけ一椀を楽しんだ。


くるり棒

 くるり棒には、ふりうち、バッダンなどの別名もある。2mほどある竹竿の先の回転軸に、竹か木製の回転部を取り付けた農具。回転部を水平に打ち付けて、豆や麦、蕎麦などの脱穀をする。


守谷板戸井地区年中行事


農事暦