-ヤマユリと林床植物の保全-

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 町の花ヤマユリは、容姿・香り・色彩・花の大きさなどどれをとっても優れものである。しかしこの花の性質は気難しく、保全ないし増殖には自生地の生態学的観察と種の増殖技術が必要である。またこの植物は観賞や食用に愛用されるが故に乱獲され、生育環境が悪化し、生育地も個体数も減少している。以下に保全・増殖についての私見を述べる。


1)生育地の環境

 多く自生が見られる土地は台地の腐植質に富んだ、水はけの良い東南に面した緩斜面林である。林の樹木はコナラ・クヌギ・エゴノキなどの夏緑樹かアカマツである。スギ・シラカシなどの暗い林は適していない。最も適した明るさは外光の40~50%の照度である。林床は丈の低いイネ科の草本などに覆われ、地温の上昇を抑えられる状態が良い。ヤマユリの開花株の球根(鱗茎)は10~20cmぐらいの地中にあり、そこの温度は最高でも30度以下で、実験的には25度くらいが最適である。


2)生育地の手入れ

 立ち木の枯れ枝や繁り過ぎた木を除き、林床の明るさを適当にする。シラカシ・ヒサカキ・アオキなどの常緑樹やアズマネザサなどは徹底的に排除し、下草刈りをする。手入れの時期はユリが休眠している11月~2月の冬期に行う。肥料の必要はない。


3)増殖の方法

 種苗商などから買い入れて球根を植えることは、大抵の場合自然の破壊になっている。それはどこかの野生地から山採りして一作して販売されているからである。

 生態系の健全な維持のためにも、その土地のものをその土地で、人々が手を掛けて育て自然に戻すべきである。

 ヤマユリの繁殖には次の方法がある。

 割球(かっきゅう)・木子(きご)・挿し木・鱗片繁殖と実生である。実生は10月ごろ、採取した種子をすぐに蒔き付ける。種子は一果に数百個ある。プランターなどに小粒の赤玉土を入れ一果分を蒔き軽く土を掛ける。寒冷沙などの細かい網で覆う。一年目の置き場は光が全く当たらないところでよい。ヤマユリは蒔いて発芽した葉の基部が鱗片化し地上には出ないで、地下で鱗片の形成だけで一年を過ごす。二年目に細かい葉を出し、三年目から茎が伸びる。このころに植え替えて半日影の露地で育てる。実生から開花まで4~5年かかる。個体数は多量に得られるが、根気のいることである。

 他の方法は球根の生産数が少なく、能率が悪い。


4)病害虫対策

 ヤマユリは腐敗病・立ち枯れ病・疫病ウイルス病・落ち葉病などにかかりやすい。これらの病害はネダニ・アブラムシによるものが多い。種球の消毒などが必要である。植え付けには密度を下げ、多肥を避け高温・強光線を防ぐ工夫をする必要がある。