-これからの調整池-

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 かつては土地利用を極限まで進めるため、垂直の醜いコンクリート面に囲まれた巨大な箱のような調整池が作られ、都市環境との調和を著しく損なうと悪評を得ました。

 現在では比較的広い面積の調整池が増えています。その大部分の地域は平常は水没しないので、自然度、自由度の高い水辺の空間として利用する例が多くなりました。

 そこには安全対策を必要とする池から、遊び場として利用できる広場まであります。そこでそれぞれの特性を活かし、安全な場所はレクリェーションゾーン、危険な場所は立入禁止の生物保護ゾーン、その中間には目隠しとなる樹木やブッシュのある景観ゾーンを設けるなど、人と生物(植物、虫、魚、鳥など)が互いに干渉せず安全に生存でき景観も楽しめるデザインが現れています(右図)。


 例えば常磐自動車道の守谷サービスエリアにある池は、調整機能と同時に景観の鑑賞も得られるように造成したと思われます。中に島が設けられヨシ、マコモが生え、サギ類が採餌しているのが見られます。

 護岸工事も最近は近自然的なものの研究が盛んです。形状を直線的なコンクリート構造でなく自然に近い形状とし、渚帯には緩急を付け、土被、金網蛇篭、割栗石などを交えれば、ヨシ、マコモ、ガマ類の生える部分を生じ、水中の間隙は水中動物のよい隠れ家になります。既製の調整池も、その一部を仕切って田の土を入れれば水辺の植生が作れます(右図)。水辺の湿地にはコリヤナギ、フリソデヤナギ、コムラサキシキブなどの湿生落葉低木や、キショウブ、ハッカ、ミソハギなど、この地方に野生する花の美しい様々な多年草を植栽すれば、管理にあまり手間を掛けずに十分に景観を楽しむことができます。

 調整池には、完全に植物を除いている池や、抽水植物が繁茂している池があります。水生植物は様々な生物に餌と隠れ場や繁殖場所を与えます。例えばトンボの幼虫のなかには、ギンヤンマやイトトンボの仲間のように水生植物につかまって生活するものもいれば、シオカラトンボやオニヤンマのように河床の泥に体をうすめているものもいます。護岸や河床を全てコンクリートで固めることを避け、水中や水辺には水生植物、水路も流れと淀みとを作れば多様な種の存在が可能になります。

 農業用のため池は、水深を一定に保つために数年に一回池を干して溜まった泥を除いていました。その際に棲んでいた生物は死滅しますが、近所に別のため池があれば、飛翔できる水生昆虫は移動してきて元の状態に戻ります。この状態を続かせるためには、水生昆虫が移動できる距離内にため池が散在していることが必要だったと解析されています。

 ため池が生物の存在や地域の景観に役立って来たことは有名です。調整池にも、ため池と同じ様な機能を持たせることは必要なことと考えます。調整池でも溜まった泥を除くなどの作業が行われます。繁殖期や水鳥の越冬期を避けるなど、生態系に最も被害が及ばない季節に行うとよいでしょう。調整池とその水系に廃油などの汚染物質を流入させたりしないマナーも必要です。


越冬中のカモたち
(みずき野第一調整池)

 上はヨシガモ、下はカルガモの群です。関東地方には冬季に多くの水鳥が訪れます。守谷町の水系では銃猟が行われるため、越冬地は住宅地や事業所の調整池に限られます。


増水した調整池
(みずき野第一調整池)

 大雨で水が増え、一時は多目的広場にも水が溢れました。マガモの群が喜んで羽を休めています。


カワセミの親子
(アサヒビール調整池)

 魚を餌とするカワセミは崖の穴で営巣しますが、適当な場所は多くありません。この池ではカワセミが営巣します。左の親鳥が右の幼鳥に捕ってきた魚を与えています。