久米路火砕岩層

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犀川の久米路(くめじ)橋付近には火砕岩類が分布し、これをSaito(1961)は久米路火砕岩層と呼んだ。この地層は城下砂岩礫岩層の下部にはさまれる。信州新町から笹平(ささだいら)にかけての犀川地域に分布するが、この地域は褶曲(しゅうきょく)を繰りかえしているため複雑な分布形態を示している。分布域は、信更町の久米路橋や虚空蔵(こくぞう)山周辺域と笹平周辺である。層厚は虚空蔵山付近で厚いが、50~300mと場所によって変化する。

 岩相は中礫~大礫の黒色緻密(ちみつ)な安山岩~玄武岩の角礫(かくれき)からなる火山角礫岩・凝灰(ぎょうかい)角礫岩や溶岩である(写真2-35)。この岩石をTakeshita(1975)は化学分析し、カリウムに富む高アルミナ玄武岩であり、高アルミナ玄武岩マグマの早期における結晶分化の産物であるとした。久米路火砕岩層は、聖(ひじり)山火山の初期活動にともなう噴出物と考えられる。


写真2-35 久米路橋の久米路火砕岩層